【理科のコツ】水よう液(中和)

中学理科/水溶液・中和
テーマ:酸性・アルカリ性と中和反応

酸とアルカリの中和とは?──「塩と水」ができる発熱反応をイメージでつかもう

酸性とアルカリ性を混ぜると「中性になる」=中和……と覚えていませんか?
実は、中和の本当の中身は「酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応」です。
発熱反応・塩(えん)と水の生成・リトマス紙の変化まで、入試で差がつくポイントをまとめました。

動画で学ぶ:水溶液の混ぜ合わせと中和のイメージ

まずは動画で「酸性」「アルカリ性」「中和」のイメージをつかんでから、
下のまとめとクイズで知識を整理していきましょう。

1. 中和とは何か?──「性質を打ち消し合う」反応

中和反応の仕組みを説明する図

教科書などでは、酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜて中性になることを
中和として説明していることが多いですが、これは「完全中和」の場合です。

本来の定義としては、

  • 酸性の性質とアルカリ性の性質が互いに打ち消し合う反応が「中和」。
  • 混ぜたあとに、少し酸性が残っていても/少しアルカリ性が残っていても、性質を打ち消し合っていれば中和とみなされる。

中学入試では、特に酸性とアルカリ性がちょうど互角になって中性になる「完全中和」の状態がよく出題されます。

(1)中和は必ず「発熱反応」になる

中和の図には、さりげなく「熱」と書かれていることがあります。これはとても重要なポイントで、
中和反応は必ず発熱反応です。

  • 酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜると、ビーカーが温かくなる
  • これは吸熱ではなく「発熱」であることをおさえておく。
  • 中学受験ではあまり問われませんが、知っておくと理解度が一段上がるポイントです。

2. 中和でできるもの──塩(えん)と水

中和反応の結果として塩と水が生成される仕組みの図解

中和反応をまとめると、つくづく大事なのはこの一言です。

酸 + アルカリ(塩基) → 塩(えん) + 水

  • 塩(えん)と書いて、「しお」だけを指すわけではない。
  • 食塩(塩化ナトリウム)のほか、硫酸銅などさまざまな塩がある。
  • 「酸」と「アルカリ」の組み合わせによって、できる塩の種類が変わる。

つまり、中和反応では、かならず「塩」と「水」ができるというパターンをまず覚えましょう。

(1)入試で大事な視点:濃度と量

問題を解くときにカギになるのが、酸性・アルカリ性の濃さ(濃度)と体積(量)です。

  • 酸のほうが濃いなら、アルカリをたくさん用意しないと完全中和にならない
  • 逆にアルカリが強くて濃いなら、酸を多めに入れる必要がある。
  • 問題文の「○倍にうすめた」「何mLずつ入れた」などの条件から、どちらが勝つか・完全中和かを読み取る。

「濃度 × 体積」で「強さ × 量」をイメージしながら、どちらの陣営が勝つかを考えると整理しやすくなります。

3. リトマス紙の変化と語呂合わせ「おかあさん」

中和・酸・アルカリを学ぶときにセットで覚えておきたいのが、リトマス紙の色の変化です。

溶液の性質 青色リトマス紙 赤色リトマス紙
酸性 青 → 赤 赤のまま
アルカリ性 青のまま 赤 → 青
中性 青のまま 赤のまま

しゅん吉流キーワードは「おかあさん」です。

  • おかあさん = 「青(お) → 赤(あ)= 酸(さん)
  • 青い紙が赤に変わったら酸性! とセットで覚える。

語呂合わせのおかげで、テスト本番で一瞬で思い出せるのがポイントです。
もし自分なりの語呂が思いついたら、ぜひノートに書いて覚えましょう。

4. 中和反応の仕組みまとめ

項目 内容
中和反応とは? – 酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応
完全中和:酸性とアルカリ性が互角になり、中性になる状態
– 中和反応では必ず発熱反応になり、熱が発生する
生成物 – 中和反応でできるもの:塩(えん)と水
– 塩には食塩(塩化ナトリウム)だけでなく、硫酸銅などさまざまな化学物質が含まれる
リトマス紙の変化 – 青色リトマス紙 → 赤色:酸性
– 語呂合わせ:おかあさん(青 → 赤 = 酸性)
– 赤色リトマス紙 → 青色:アルカリ性
問題のポイント – 酸性・アルカリ性の濃度(こさ)体積(量)を見て、どちらが余るか判断する
– 中和の結果、酸性またはアルカリ性が少し残る場合もある
– 入試では完全中和の条件(中性になる点)をねらう問題が多い

5. 中和反応の仕組みクイズ(10問)

中和の定義・発熱・生成物・リトマス紙…どこまで定着したかチェックしてみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンを押すと答えが表示され、ボタンは消えます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 中和反応とはどのような反応ですか? A. 酸性がアルカリ性を打ち負かす反応
B. 酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応
C. アルカリ性が酸性を蒸発させる反応
D. 酸性とアルカリ性が共存する反応

2. 中和反応で必ず発生するものは? A. 吸熱
B. 冷気
C. 発熱
D. 色変化

3. 中和反応で生成されるのは? A. 酸素と水
B. 塩と水
C. 塩と酸素
D. 水だけ

4. 中和で生成される「塩」とは何ですか? A. しお(食塩)のみ
B. 塩酸の成分
C. 食塩以外の化学物質も含む
D. 水酸化物のみ

5. 酸性のリトマス紙の色変化は? A. 赤→青
B. 青→赤
C. 緑→赤
D. 青→緑

6. リトマス紙の語呂合わせ「おかあさん」とは何を指しますか? A. 赤→青: アルカリ性
B. 青→赤: 酸性
C. 緑→青: 中性
D. 赤→緑: 酸性

7. 完全中和の定義は? A. 酸性とアルカリ性が互いに中和しきる状態
B. 酸性が強く残る状態
C. アルカリ性が勝つ状態
D. 中和が不完全な状態

8. 中和反応で塩が生成される理由は? A. 酸がアルカリ性を溶かすから
B. 酸とアルカリの化学反応で塩ができる
C. 水の蒸発による副産物
D. 温度の影響で生成

9. 中和反応における「発熱反応」の特徴は? A. 必ず冷たくなる
B. 必ず熱が発生する
C. 時々熱が発生する
D. 無反応

10. 中和反応の例として正しいものは? A. 水と油
B. 酸性とアルカリ性
C. 酸素と窒素
D. 塩と水

6. まとめ──「酸+アルカリ=塩と水+発熱」をワンセットで

  • 中和=酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応。完全中和では中性になる。
  • 中和では必ず発熱反応が起こり、ビーカーがあたたかくなる。
  • 中和反応の生成物は、塩(えん)と水が基本パターン。
  • リトマス紙は「おかあさん」= 青 → 赤 で酸性と覚えると、テストで迷いにくい。
  • 計算問題では、酸とアルカリの濃度 × 体積を比べて、どちらが余るかを判断する。

このページの内容をおさえておくと、中和・中性・発熱・リトマス紙の色の変化が1本の線でつながります。
ノートに自分なりの図や語呂合わせを書き加えながら、何度か解き直してみましょう。

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