【理科のコツ】「ものの燃え方」|有機物・無機物とろうそく・スチールウールの燃焼

中学理科/化学分野
テーマ:ものの燃え方(有機物・無機物と化学変化)

ものの燃え方と化学変化──有機物・無機物の燃焼で覚える「CとH」のルール

割りばし・ダンボール・ろうそく・鉄・銅…。
一見バラバラに見える「燃えるもの」ですが、炭素(C)と水素(H)の有無で整理すると、
「二酸化炭素が出るのか?水が出るのか?」「金属はどう変わるのか?」が一気に見通しよくなります。

動画で学ぶ:ものの燃え方の基本

まずは動画で「有機物」「無機物」「燃焼=酸素との合体」のイメージをつかんでから、
下のまとめ・図・クイズで知識を整理していきましょう。

1. ものの燃え方の基本イメージ

(1)ろうそく・割りばし・ダンボールはどう燃えている?

理科の問題では、よくろうそく・割りばし・ダンボールなどが登場します。
ろうそくの場合、実は固体のろうそのものが燃えているわけではありません。

  • 固体のろうが熱で溶けて液体になる。
  • 液体のろうが芯を伝って上にのぼる。
  • 炎の周りで気体になったろうが、空気中の酸素と反応して燃える。

割りばしやダンボールも、見た目は違っていても、「中身の成分が酸素と反応している」という点では同じです。

(2)燃焼=「酸素と合体すること」

ものが「燃える」とは、簡単に言うと空気中の酸素(O2)と物質がくっつくことです。

  • 空気中には見えないけれど、窒素(N2)が約80%、酸素(O2)が約20%ふくまれている。
  • ほかにも、少量の二酸化炭素(CO2)やアルゴンなどが含まれている。
  • 燃焼では、この酸素と物質が合体する=酸化が起きる。

このあと出てくる「有機物」「無機物」の燃焼も、すべて酸素と合体する化学変化として考えます。

2. 有機物の燃焼──炭素と水素に注目しよう

ろうそくの火が燃える仕組みと化学変化

割りばし・ダンボール・ろうそくなどは、炭素(C)と水素(H)を主成分とする物質です。
このような物質を有機物と呼びます。

有機物を燃やすと、炭素と水素がそれぞれ酸素と合体して、次のような物質ができます。

反応する粒 燃焼後にできる物質
炭素(C)+酸素(O2 二酸化炭素(CO2
水素(H)+酸素(O2 水(H2O)

入試レベルでは、「CがCO2になる」「HがH2Oになる」という対応関係を覚えておくと、
「発生したCO2・H2Oの質量から、もとの有機物の質量を求める」などの計算問題が解きやすくなります。

有機物のポイント整理

  • 主成分:炭素(C)、水素(H)
  • 燃焼すると:
    • 炭素 → 二酸化炭素(CO2
    • 水素 → 水(H2O)
  • 代表例:木材、紙、ダンボール、ろうそくのろうなど

3. 無機物(金属)の燃焼──別物質「酸化物」に変わる

有機物に対して、炭素を含まない金属などは、ここでは無機物として扱います。
代表例は鉄(Fe)銅(Cu)です。

金属を熱して酸素と反応させると、金属酸化物と呼ばれる別物質になります。

  • 鉄(Fe)+酸素(O2)→ 酸化鉄(FeO、Fe2O3など)
  • 銅(Cu)+酸素(O2)→ 酸化銅(CuO)

酸化したあとの鉄や銅は、電気を通しにくくなるなど、金属としての性質を失ってしまいます。
見た目も「ピカピカした金属」から「黒っぽく、粉っぽい酸化物」に変化します。

化学変化を通じて物質の変化を学ぶ重要なポイント

「消しゴムとお好み焼きを合体させたらキリンができた」くらい、
もとの物質と燃焼後の物質は全然別物なんだ、という感覚を持とう。

無機物のポイント整理

  • 主成分:金属(鉄・銅など)
  • 燃焼後:酸素と結びついて酸化鉄・酸化銅などの酸化物になる。
  • 性質の変化:見た目・色・電気の通しやすさなどが変わり、「金属らしさ」が失われる。
  • 有機物の燃焼とちがって、二酸化炭素や水が主役ではない点に注意。

4. ものの燃え方のまとめ表

元のまとめを、入試でもそのまま使えるように表で整理しました。

ポイント 内容
有機物の燃焼 – 主成分:炭素(C)、水素(H)
– 燃焼の化学反応:
 炭素 + 酸素 → 二酸化炭素(CO2
 水素 + 酸素 → 水(H2O)
– 酸素(O2)は空気中の約20%を占める
無機物の燃焼 – 主成分:金属(例:鉄、銅)
– 燃焼の化学反応:
 鉄 + 酸素 → 酸化鉄(FeO, Fe2O3 など)
 銅 + 酸素 → 酸化銅(CuO)
– 燃焼後、金属としての性質(電気を通すなど)が失われる
燃焼の特徴 – 燃焼とは「酸素と合体すること」(酸化)
– 燃焼後、物質の性質が変化する化学変化である
日常の例 – ろうそく:液体になったろうが芯をのぼり、気体となって燃焼
– 鉄橋・銅線:長期間の酸化や加熱により、表面が酸化物になり性質が変わる

5. ものの燃え方に関するクイズ(10問)

有機物・無機物・燃焼・酸化の理解度を、10問のクイズで確認しましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンを押すと答えが表示され、ボタンは消えます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 炭素が燃焼すると生成される物質は? A. 水
B. 二酸化炭素
C. 酸化鉄
D. 酸素

2. 水素が燃焼すると生成される物質は? A. 二酸化炭素
B. 水
C. 酸化銅
D. 酸化鉄

3. 無機物の例として正しいものは? A. ろうそく
B. 木材
C. 鉄
D. プラスチック

4. 酸素が空気中に占める割合は? A. 10%
B. 20%
C. 50%
D. 80%

5. 銅を燃やした後に生成される物質は? A. 酸化鉄
B. 酸化銅
C. 二酸化炭素
D. 水

6. ろうそくの燃焼に直接関与しているのは? A. 固体のろう
B. 液体のろう
C. 酸化鉄
D. 鉄粉

7. 燃焼が起こるために必ず必要な成分は? A. 水
B. 酸素
C. 二酸化炭素
D. 窒素

8. 酸化鉄はどの金属から生成される? A. 銅
B. 鉄
C. アルミニウム
D. 亜鉛

9. 無機物(金属)の燃焼後に生成される物質の総称は? A. 二酸化炭素
B. 水
C. 酸化物
D. 酸素

10. 木材の燃焼によって主に発生する物質は? A. 酸化銅
B. 二酸化炭素
C. 酸化鉄
D. 窒素

6. まとめ──「有機物=CとH」「無機物=金属と酸化物」で整理する

  • 割りばし・ダンボール・ろうそくなどの有機物は、炭素(C)と水素(H)を含み、燃えるとCO2とH2Oをつくる。
  • 鉄・銅などの無機物(金属)は、酸素と反応して酸化鉄・酸化銅などの酸化物に変わり、金属としての性質を失う。
  • 燃焼とは酸素との合体(酸化)であり、燃焼後は別の物質になっている=化学変化である。
  • 入試問題では、「何が燃えて、何ができたか」を意識すると、質量計算やグラフ問題も理解しやすくなる。
  • 「消しゴム+お好み焼き=キリン」くらい、燃焼前後は全くの別物というイメージを持つと、化学変化の本質がつかみやすい。

単なる暗記ではなく、「CはCO2、HはH2O、金属は酸化物」という対応関係で整理しておくと、
物質の変化単元全体がつながって見えてきます。

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