【理科のコツ】ものの体積と温度

中学受験/理科・物理
テーマ:ものの体積と温度

ものの体積と温度──金属球の実験で「膨張」をイメージしよう

金属球と輪っかの有名な実験を通して、「温めると膨張・冷やすと収縮」という
体積と温度の関係を確認します。線路のすき間やエッフェル塔の高さの変化など、
身の回りの例と結びつけて覚えていきましょう。

動画で学ぶ:ものの体積と温度

まずは、金属球と輪っかの実験の様子を動画で確認しましょう。
「温めたら通らなくなり、冷やしたらまた通る」この不思議を、
原子の動きという視点から説明していきます。

金属球と輪の実験からわかること

実験では、ギリギリ通る大きさの金属球と輪っかを用意します。

  • 常温:金属球は輪をギリギリ通過できる。
  • 加熱後:同じ金属球なのに、輪を通らなくなる
  • 冷やすと:再び元通り通過できるようになる。

種も仕掛けもなく、使っているのは同じ金属球と輪。
違うのは「温度」だけです。

温度変化と体積膨張の原理を示す実験図解

金属球を温めると、わずかに体積が大きくなり、輪を通らなくなる。
冷やすと再び体積が小さくなり、通過できるようになります。

なぜ膨張・収縮が起こるのか?

物質は、目に見えない原子や分子の粒からできています。

  • 温めると、原子・分子の動きが元気になり、振動が大きくなる
  • その結果、粒同士の間隔が少し広がって、全体の体積が大きくなる(膨張)
  • 冷やすと動きが落ち着き、間隔が縮んで体積が小さくなる(収縮)

金属球も輪も目で見ればほとんど同じ大きさに見えますが、
原子レベルでは、温度によって確かに「大きさ」が変化しているのです。

日常生活の中の「膨張」と「収縮」

身近な金属の膨張の例

  • 鉄道の線路
    → レール同士の間にすき間があるのは、
    夏にレールが熱せられて膨張しても、曲がったり壊れたりしないようにするため。
  • 橋・鉄橋
    → 金属部分にすき間や継ぎ目があるのは、
    気温変化による膨張・収縮を見込んで設計しているから。
  • エッフェル塔
    → 夏場には、鉄の膨張によって高さが十数センチほど高くなると言われています。

気体はもっと変わりやすい

同じ温度変化でも、気体は液体や固体より体積が変わりやすいという特徴があります。

  • 気体はもともと分子同士の間隔がとても広い
  • 温めると、さらに勢いよく飛び回り、体積がぐんと大きくなる
  • 体積だけでなく、圧力の影響も強く受ける。

こうした性質を利用した問題(気体の体積変化、ボイル・シャルルの法則など)にも
つながっていくので、「気体は特に変わりやすい」というイメージを持っておきましょう。

ものの体積と温度のまとめ

項目 内容
体積と温度の関係 – 温めると体積が大きくなる(膨張
– 冷やすと体積が小さくなる(収縮
– 原子・分子の動きが活発になり、間隔が広がることで膨張する
日常生活の例 – 鉄道の線路:レールに隙間を設けて膨張を考慮
– 橋や鉄橋:金属の膨張を見越して継ぎ目や隙間を調整
– エッフェル塔:夏場に約15cm伸びるとされる
気体の特徴 – 温めると特に体積が大きくなる
– 分子間の距離が元々遠いため、変化しやすい
圧力の影響も大きく受ける
実験例 – 加熱した金属球が輪を通らなくなる
– 冷やすと元通り通過するようになる

「温めると膨張・冷やすと収縮」は、金属・液体・気体すべてに共通する基本ルールです。
ただし、変化の大きさや、圧力の影響の受け方は物質の状態によって違う、という点もセットで覚えておきましょう。

ものの体積と温度のクイズ(10問)

体積と温度の関係が理解できたか、クイズでチェックしてみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンを押すと、答えが表示されます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 金属を加熱するとどうなる? A. 体積が小さくなる
B. 体積が変わらない
C. 体積が大きくなる
D. 密度が増加する

2. エッフェル塔は夏場にどの程度伸びる? A. 1cm
B. 5cm
C. 10cm
D. 15cm

3. 鉄道の線路に隙間を設ける理由は? A. 脱線を防ぐため
B. 鉄道車両の加速を助けるため
C. 製造ミスを隠すため
D. 美観を保つため

4. 温めた金属球が輪を通らなくなるのはなぜ? A. 重さが増えるから
B. 原子が活発になり体積が増えるから
C. 輪が縮むから
D. 温度の影響を受けないから

5. 気体の体積は何の影響を受けやすい? A. 温度のみ
B. 圧力のみ
C. 温度と圧力
D. 質量のみ

6. ドライヤーで体を温めるとどうなる? A. 身長が伸びる
B. 身長が縮む
C. 身長は変わらない
D. 重さが増える

7. 金属の膨張は何によって起こる? A. 分子間の距離が縮むから
B. 原子の動きが活発になるから
C. 原子が減るから
D. 温度に依存しない

8. 気体が液体や固体よりも体積変化しやすい理由は? A. 分子が固定されているから
B. 分子間の距離が遠いから
C. 温度に影響されないから
D. 圧力に影響されないから

9. 温めた金属が膨張しても輪を通る方法は? A. 冷却する
B. 水に沈める
C. 圧力をかける
D. 温度を一定に保つ

10. 温度変化が影響を与えるのは? A. 気体のみ
B. 固体のみ
C. 全ての物質
D. 液体のみ

日常の「膨張」「収縮」を探してみよう

線路・橋・ビンのフタ・風船など、身の回りには温度と体積の関係が隠れています。
このページで学んだ内容を思い出しながら、実際の生活の中で「膨張」「収縮」の例を探してみましょう。