化学分野の特徴と引っ掛かりポイント【動画解説】


中学受験理科/化学分野
暗記+計算の「二刀流」対策

中学受験理科「化学分野」のつまずきポイント──暗記と計算を両立させる学習法

溶解度・気体・金属・中和……と単元の幅が広く、「暗記も計算もどちらも大変」になりがちな化学分野。
物理に比べて「覚えること」が多く、算数の割合・比の力も同時に求められるため、
苦手意識を持つ受験生も少なくありません。

本記事では、講師・高野が指摘する化学の代表的なつまずきポイントと、
算数の食塩水・溶解度計算との違い、そして実験理解と「枝問」対策まで、
動画とあわせて分かりやすく整理します。化学を「なんとなく」から「得点源」に変えていきたいご家庭に向けたガイドです。

※動画では、化学分野の「引っかかりポイント」や算数とのつながりについて、講師が対談形式で詳しく解説しています。
記事と一緒にご覧いただくと理解がさらに深まります。

化学分野の引っかかりポイントとは?

「単位」で引っかかるのは物理と共通

高野:これは物理と共通してて、単位が引っかかるところは共通して言えることかなと、まず一点思います。

化学分野でも、物理と同じように単位の扱いでミスが多くなります。
たとえば、

  • g と kg(質量)
  • cm³ と mL(体積)
  • ℃ と g/100g(水100gあたり何g溶けるか)

など、「何を基準にしている単位なのか」を理解しないまま、数字だけを追ってしまうと、
正しい式を立てても単位換算ミスで点数を落としてしまいます。

単位ミスを防ぐための基本は、次の3つです。

  • 問題文に出てくる数値の横に、必ず単位を書き込みなおす
  • 計算を始める前に、同じ単位にそろえる(例:kg → g、L → mL)
  • 答えを書いたあとに、「1Lでこの量は現実的か?」など、ざっくり検算する

暗記+計算という「二刀流」が必要な分野

高野:化学の大変なところは暗記・計算2ジャンル入ってきて苦労してる人が多いと思うんです。
物理は割と計算オンリーみたいなところありますが化学の場合は知識もさることながらある程度、割合の計算というのはすごく出るので…
基本的には計算して頑張るっていう部分と暗記して覚えるバランスが大事な分野になると思います。

化学分野が難しく感じられる大きな理由は、「覚える」だけでも、「計算する」だけでも足りないところにあります。
代表的な要素を挙げると、

  • 物質名・性質・反応の知識(暗記)
  • 濃度・溶解度・質量保存などの計算(割合・比)

の両方が要求されます。
そのため、得意・不得意のタイプによって、伸ばし方のアプローチも変わってきます。

タイプ つまずきやすいポイント 意識したいこと・対策
算数が得意な子 計算は速いが、物質名・性質・実験の流れなど知識の抜けが原因でミスすることが多い。
  • 計算だけでなく、「何の実験か」を一言で説明できるようにする
  • 暗記箇所は、表やカードにして短時間で何度も復習する
  • 計算問題も、答えだけでなく言葉で解き方を説明してみる
算数が苦手な子 説明を読んで現象はイメージできるが、割合・比の式を立てる段階で手が止まりやすい。
  • 食塩水などの基本の「割合」復習からやり直す
  • 「もとになる量」「比べる量」を色分けして整理する
  • 同じパターンの問題を少数の例題で反復し、式の立て方を体に覚えさせる
暗記は得意だが応用が苦手な子 用語は覚えているのに、実験の意図や結果の読み取りになると正答率が下がる。
  • 「この実験は何を調べるため?」を毎回ノートに書く
  • 動画・写真・図を見ながら、結果の意味を自分の言葉で説明する練習をする
  • 枝問の流れを追い、問題全体のストーリーをつかむ習慣をつける

化学を得点源にするためには、「暗記だけ」「計算だけ」に偏らず、両方をバランスよく鍛えることが重要です。
どちらか一方が苦手な場合は、まず自分がどのタイプかを把握し、対策の優先順位を決めていきましょう。

化学で点数を伸ばす3つの視点
  • 単位と割合の扱いに慣れる(g・mL・%の関係)
  • 暗記と計算の両方に時間を配分する
  • リード文・枝問のストーリーを意識して問題に取り組む

この3点を意識して勉強するだけでも、「何となく難しい」化学が、
少しずつ「型が見える」得点源へと変わっていきます。

家庭学習でできる工夫
  • 算数の食塩水・割合を並行して復習する
  • 実験の図の横に一言メモを残す(「何を調べる実験か」)
  • 動画・写真を見ながら、自分で実験の流れを説明してみる

「どこから手をつければいいか分からない」という場合は、

まずは上の3つだけに絞って取り組むのがおすすめです。

「暗記も計算も整理してほしい」と感じている方へ

当塾「しゅん吉クエスト」では、化学分野を含む理科全体について、一人ひとりの弱点に合わせた個別指導を行っています。
「溶解度だけ極端に苦手」「リード文は読めているつもりなのに点数につながらない」など、同じ“化学が苦手”でも原因は様々です。

授業では、ただ解き方を教えるだけではなく、

  • 単位・割合・比など、算数とのつながりを整理し直す
  • 実験の意図・流れを押さえたリード文の読み方を身につける
  • 頻出単元ごとに「まず覚えるべきこと」を絞り込む

「化学だけ時間をかけているのに伸びづらい…」という場合は、

まずつまずきの原因を一緒に言語化することから始めてみませんか。


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算数の食塩水と溶解度計算は同じ?違う?

共通する「割合の考え方」と、化学特有のポイント

算数にも食塩水の分野があり、「みかけ上、溶解度の計算と同じでは?」と感じる方も多いと思います。
確かに、

  • 「全体の量」と「溶けている量」の割合を考える
  • 比・割合の式を使って、未知の量を求める

という点では共通していますが、理科の化学ではそれだけでは終わりません
温度によって溶ける量が変わる溶解度曲線や、
「加熱する/冷やす」「水を加える/水を蒸発させる」といった操作の意味も同時に理解する必要があります。

「枝問付きのストーリー問題」になるのが理科

高野:理科はそこに考察ポイントも載ってきたりして、基本的に理科は枝問と呼ばれる大問小問でリードがつくので、必ず順に追っていけばある程度、点が取れる科目ではあるんですよ。
だけど、どういう意図でやってる実験かある程度知らないと全部が小問集合に見えてきて、問題が単発になりがちなところが多いので…。

算数の食塩水は、1問完結の計算問題として出題されることが多いのに対し、
理科の溶解度・濃度の問題は、

  • リード文(導入)で実験の条件・手順が説明される
  • その内容にもとづいて枝問(小問)が順番に積み重なっていく
  • 途中にグラフの読み取りや考察が挟まる

といった構成になっていることが多いです。
つまり、「計算そのもの」だけでなく、「その計算がどんな実験と結びついているか」まで理解しておく必要があります。

そのため、溶解度・濃度の問題では次のような読み方を意識してみてください。

  1. リード文で「何の実験か」「何を確かめたいか」をつかむ
  2. 実験操作(加熱・冷却・水を加えるなど)に線を引き、溶ける量が増えるのか減るのかをイメージする
  3. グラフや表と照らし合わせて、温度と溶解度の関係を確認する
  4. 最後に、算数で学んだ「割合」の考え方で具体的な数値計算に入る

実験の流れを理解することと「実体験」の大切さ

リード文を「小問集合」にしないために

高野:どういう意図でやってる実験かある程度知らないと全部が小問集合に見えてきて、問題が単発になりがちなところが多いので…。

化学分野の大問では、リード文を読み飛ばしていきなり枝問から解き始める子も少なくありません。
しかし、それでは

  • 実験の目的
  • 操作ごとの変化(何が増えて何が減るのか)
  • グラフ・表が何を表しているのか

が曖昧なままになり、結果的にその場しのぎの小問集合のように見えてしまいます。

そこで、リード文を読むときには、次のポイントを意識してみてください。

  1. 最初の一文を読んだ段階で、「何の実験か」をノートに一言で書く
  2. 操作(加熱・冷却・ろ過・蒸発など)ごとに、図やイラストで流れをメモする
  3. 各枝問の前に、「ここでは何を確認している小問か?」を自分でラベル付けする

こうした小さな工夫だけでも、問題全体のストーリーが見えやすくなり
単発の知識問題としてではなく、ひとつの実験として理解できるようになります。

実験動画・教室・実体験をうまく使う

高野:実験、動画や写真を実際見てみるとか、実験教室もあるので、実際自分が経験して
「ある程度この実験知ってる」となると、問題の流れが分かって計算とか、問題の条件を読解する意味ではそういう実体験しとくのは有利に働くかなと思いますね。

化学分野では、「頭だけで理解しようとする」のではなく、目や手を使う体験が大きな味方になります。

具体的には、次のような機会を意識的に活用すると効果的です。

  • 市販の実験キットや学校・塾の実験教室に参加してみる
  • 塾や学校の授業で行った実験を、写真や動画で撮影しておき、あとで見返す
  • テキストに載っている実験写真・模式図と、実際の様子を結びつけるように説明してもらう
  • 自宅でできる範囲の簡単な実験(食塩水の蒸発など)を親子で試してみる

一度でも「自分の目で見た」「自分の手でやってみた」ことがあると、
リード文の文章や図が一気にリアルに感じられるようになります。
その結果、計算式の意味や、条件文の意図も理解しやすくなり、
「暗記」と「計算」がバラバラではなく一本の線でつながっていく感覚をつかみやすくなります。

まとめ──暗記と計算をつなげて「できる化学」へ

化学分野は、「暗記も計算も必要」という点で負担が大きく感じられますが、
ポイントを押さえて学習すれば、確実に安定した得点源に変えていくことができます。

  • 物理と同様に、単位の扱い(g・mL・%など)でつまずきやすい
  • 暗記と計算のどちらか一方に偏らず、自分のタイプに応じて補強する
  • 算数の食塩水と似ている部分はあるが、理科では実験の意図や溶解度曲線の理解が加わる
  • リード文と枝問をストーリーとして読む習慣が、得点力アップのカギ
  • 実験動画や実験教室など、実体験を通してイメージを固めると理解が一気に進む

いきなり完璧を目指すのではなく、まずは「単位」「割合」「リード文」の3つに絞って、
ひとつひとつのつまずきを解消していきましょう。

本記事と動画、そして必要に応じて個別指導を組み合わせることで、
化学を「よく分からないから避けたい分野」から「点を取りに行ける分野」へと変えていけるはずです。

中学受験理科の「化学対策」を相談したい方へ

「化学だけ伸び悩んでいる」「暗記と計算のバランスをどう取ればいいか知りたい」など、

お子さまの現在地に合わせて、最適な学習プランをご提案いたします。

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