中学理科|地震の仕組みと計算(P波S波・初期微動)【理科のコツ】
テーマ:P波・S波/初期微動継続時間/震源距離
地震の計算問題では、P波とS波の速さ、初期微動継続時間、震源までの距離、地震が発生した時刻などがよく問われます。このページでは、地震の基本を確認したうえで、P波・S波の違いから震源距離を求める計算までを順番に整理します。
「用語は覚えたけれど、計算問題になると何を使えばよいかわからない」という場合も、速さ・時間・距離の関係に戻って考えれば整理できます。図・表・例題を使いながら確認していきましょう。
この記事でわかること
- P波・S波と初期微動・主要動の関係
- 初期微動継続時間から震源距離を求める方法
- 距離と時間からS波の速さを求める方法
- P波の到着時刻から地震発生時刻を求める方法
- 震源・震央・震度・マグニチュードの違い
- 地盤によって揺れ方が変わる理由
1. 地震の仕組みと「震源」
震源と震央
プレート同士がせめ合い、ある場所で岩石が急にずれると、そこから揺れのエネルギーが周りへ広がっていきます。
- 震源(しんげん):地下で実際にずれが起きた場所
- 震央(しんおう):震源の真上にあたる地表の地点
地震の計算では、この震源から観測地点までP波やS波が伝わるのに何秒かかったかを考えます。
海のプレートが大陸プレートの下に沈み込むとき、プレート同士が引っかかって歪み(ゆがみ)がたまります。
たまった力が限界をこえて岩石がずれると、その揺れが周囲へ伝わります。日本は複数のプレートの境界付近に位置しているため、地震が多く発生します。
2. P波・S波と初期微動・主要動
地震が起こると、震源からP波とS波が伝わります。地震計算では、この2つの波の速さの違いを理解することが重要です。
① P波と初期微動
- P波(Primary wave)はS波より速く伝わる
- P波が観測地点に到着すると、最初の小さな揺れである初期微動が始まる
- 伝わる速さの目安:およそ秒速6〜8km(場所によって変化)
② S波と主要動
- S波(Secondary wave)はP波より遅く伝わる
- S波が観測地点に到着すると、大きな揺れである主要動が始まる
- 伝わる速さの目安:およそ秒速4〜5km(場所によって変化)
P波とS波は震源から伝わり始めますが、P波の方が速いため先に観測地点へ到着します。そのため、P波による初期微動が始まったあと、S波が到着すると主要動が始まります。
初期微動継続時間とは?
初期微動継続時間とは、P波が到着してからS波が到着するまでの時間です。
- 初期微動継続時間が短い ⇒ 震源から近い
- 初期微動継続時間が長い ⇒ 震源から遠い
地震の計算問題では、P波・S波の速さや到着時刻を使って、初期微動継続時間、震源までの距離、波の速さ、地震が発生した時刻などを求めます。
3. 地震計算の考え方:P波・S波から震源距離を求める
地震計算で大切なのは、特別な式を丸暗記することではありません。まずは次の関係を確認しましょう。
- 距離 = 速さ × 時間
- 速さ = 距離 ÷ 時間
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
そのうえで、「P波は速い」「S波は遅い」「P波とS波の到着時刻の差が初期微動継続時間」と整理します。
| 見るポイント | 意味 | 計算での使い方 |
|---|---|---|
| P波の到着時刻 | 初期微動が始まった時刻 | P波が震源から観測点まで進んだ時間を考える |
| S波の到着時刻 | 主要動が始まった時刻 | S波が震源から観測点まで進んだ時間を考える |
| 初期微動継続時間 | P波到着からS波到着までの時間 | 震源までの距離が長いほど、この時間も長くなる |
例題:初期微動継続時間から震源距離を求める
問題:P波が秒速6km、S波が秒速4kmで伝わるとします。ある地点で、P波が到着してからS波が到着するまでの時間が10秒でした。この地点は震源から何km離れていますか。
考え方:震源から観測点までの距離は、P波もS波も同じです。ただし、P波の方が速く進むため先に到着します。S波が進むのにかかった時間から、P波が進むのにかかった時間を引いたものが初期微動継続時間です。
表で探す方法
まずは距離をいくつか仮に決めて、P波とS波がそれぞれ何秒で届くかを比べてみます。
| 震源からの距離 | P波が進む時間 | S波が進む時間 | 時間の差 |
|---|---|---|---|
| 60km | 60 ÷ 6 = 10秒 | 60 ÷ 4 = 15秒 | 15秒 – 10秒 = 5秒 |
| 120km | 120 ÷ 6 = 20秒 | 120 ÷ 4 = 30秒 | 30秒 – 20秒 = 10秒 |
| 180km | 180 ÷ 6 = 30秒 | 180 ÷ 4 = 45秒 | 45秒 – 30秒 = 15秒 |
初期微動継続時間が10秒になるのは、震源からの距離が120kmのときです。したがって、この地点は震源から120km離れていると求められます。
式で考える方法
慣れてきたら、震源からの距離を□kmとして考えることもできます。
- P波が届くまでの時間:□ ÷ 6 秒
- S波が届くまでの時間:□ ÷ 4 秒
- 初期微動継続時間:S波が届くまでの時間 – P波が届くまでの時間
今回の初期微動継続時間は10秒なので、
□ ÷ 4 – □ ÷ 6 = 10
□ ÷ 12 = 10
□ = 120
この方法でも、震源からの距離は120kmと求められます。中学理科や中学受験理科では、表で考える方法と式で考える方法の両方を確認しておきましょう。
「速さ・時間・距離」の関係があいまいなままP波・S波の問題に入ると、式の意味がわからなくなりやすくなります。どの値を求める問題なのかを確認してから、「距離=速さ×時間」「速さ=距離÷時間」「時間=距離÷速さ」のどれを使うか考えましょう。
S波の速さの求め方
S波の速さそのものを求める問題でも、基本は「速さ=距離÷時間」です。
例:震源から120km離れた地点に、S波が30秒かかって到着した場合
S波の速さ = 120km ÷ 30秒
= 秒速4km
問題文やグラフから震源までの距離とS波が伝わった時間を読み取り、距離を時間で割れば求められます。
地震が発生した時刻の求め方
地震発生時刻を求めるときは、まずP波が震源から観測地点まで伝わるのにかかった時間を求めます。その時間をP波の到着時刻から戻すのが基本です。
例:震源から120km離れた地点に、秒速6kmのP波が10時00分30秒に到着した場合
P波が伝わった時間 = 120km ÷ 6km/s = 20秒
地震発生時刻 = 10時00分30秒 – 20秒
= 10時00分10秒
「到着した時刻」と「地震が発生した時刻」を混同しないようにしましょう。
地震計算でよく聞かれること
- P波とS波の到着時刻から、初期微動継続時間を求める
- 初期微動継続時間から、震源までの距離を求める
- 距離と到達時間から、P波やS波の速さを求める
- P波の到着時刻などから、地震が発生した時刻を逆算する
- 複数の観測点のデータから、震源の位置を推定する
表やグラフを読み取る問題では、どの数字がP波の到着を表し、どの数字がS波の到着を表しているのかを見分けることが大切です。用語だけでなく、与えられた数字をどこに使うのかを意識して練習しましょう。
地震の計算は、P波・S波の用語を覚えるだけでなく、速さ・時間・距離のどれを求めるのか整理することが重要です。
例題は理解できても、別の表やグラフになると考えにくい場合は、地学分野の図表問題として練習する内容を見直しておくとよいでしょう。
一人で式の意味を説明しにくい場合は、地震・地層・天気などを扱う地学攻略講座の内容も確認できます。
4. 動画で学ぶ:地震の仕組みと重要キーワード
文章や計算だけではイメージしにくい場合は、しゅん吉先生の動画で地震の全体像を確認できます。動画のあとに、上のP波・S波や計算例をもう一度確認すると、用語と計算を結びつけやすくなります。
5. マグニチュードと震度の違い
地震のニュースでよく耳にする「マグニチュード」と「震度」は、似ているようで表しているものが異なります。
| 用語 | 何を表す? | 決まるもの |
|---|---|---|
| マグニチュード | 地震そのものが持つエネルギーの大きさ(規模) | 1回の地震ごとに1つの値が決まる |
| 震度 | ある地点での揺れの強さ | 地点ごとに値が違う(同じ地震でも場所によって震度が異なる) |
マグニチュードのイメージ
- Mが大きいほど、地震のエネルギーは大きい
- マグニチュードが2増えると、エネルギーは約1000倍になる
- 例:M7の地震に対して、M9の地震はエネルギーが約1000倍
震度の段階と「弱・強」
震度は、日本では0〜7の10段階で表します。
- 震度0、1、2、3、4
- 震度5弱・5強
- 震度6弱・6強
- 震度7
震度5と震度6はそれぞれ「弱」と「強」に分かれています。同じ地震でも観測地点によって震度が異なる点も、マグニチュードとの重要な違いです。
6. 地盤の違いで揺れ方は変わる
震源からの距離が同じでも、地盤の状態によって揺れ方は変わります。
| 見るポイント | 揺れ方のイメージ |
|---|---|
| 震源に近い場所 | 揺れのエネルギーがまだ強く、大きく揺れやすい |
| 震源から遠い場所 | エネルギーが弱まり、揺れは小さくなりやすい |
ただし、震源からの距離だけで揺れの大きさが決まるわけではありません。
- 硬い地盤(岩盤など):比較的揺れが小さいことが多い
- やわらかい地盤・埋立地:揺れが増幅され、大きく揺れやすい
埋立地などのゆるい地盤では、強い揺れによって地盤が液体のような状態になり、建物が傾いたり道路が陥没したりすることがあります。
地域によって地盤条件が異なるため、日ごろから自分の住んでいる地域のハザードマップなどを確認しておくことも大切です。
7. 地震と災害・防災へのつながり
地震では、揺れそのものだけでなく二次災害にも注意が必要です。
- 津波:海底の地震によって大きな波が発生
- 土砂災害・がけの被害:山の斜面がくずれ、家や道路をおそう
- 火災:ガスや電気のトラブルから火事が発生することもある
理科で地震の仕組みを学ぶことは、地震が起きたときの現象を理解することにもつながります。家庭での避難場所や連絡方法などもあわせて確認しておきましょう。
8. ここまでのまとめ
- 震源:地下で実際にずれが起きた場所 / 震央:その真上の地表
- P波はS波より速く伝わり、P波の到着によって初期微動が始まる
- S波が到着すると主要動が始まる
- 初期微動継続時間は、P波到着からS波到着までの時間
- 初期微動継続時間が長いほど震源から遠い
- 地震計算では、距離=速さ×時間の関係を使う
- S波の速さは、距離と伝わった時間がわかれば距離÷時間で求められる
- 地震発生時刻は、波が伝わった時間を到着時刻から戻して考える
- マグニチュード:地震の規模 / 震度:各地点での揺れの強さ
- 震源からの距離だけでなく、地盤の状態によっても揺れ方は変わる
地震の計算では、問題文や表・グラフから「距離・速さ・時間」のどれがわかっていて、どれを求めるのかを整理することが大切です。
9. 地震に関するクイズ11問で理解度チェック
この記事の内容をもとにした確認クイズ11問です。「正解を見る」ボタンをクリックして、基本用語と計算方法を理解できているか確認してみましょう。
| 問題 | 選択肢 | 回答 |
|---|---|---|
| 1. 震源とは何を指しますか? |
A. 地震の規模 B. 地下で実際にずれが起きた場所 C. 震源の真上の地表 D. 揺れの強さ |
|
| 2. P波とS波では、どちらが先に観測地点へ到着しますか? |
A. P波 B. S波 C. 同時 D. 地震によって必ず入れ替わる |
|
| 3. 初期微動継続時間とは、どの時間ですか? |
A. 地震発生からP波到着まで B. P波到着からS波到着まで C. S波到着から地震終了まで D. 余震が続く時間 |
|
| 4. 初期微動継続時間が長いほど、観測地点はどうなりますか? |
A. 震源から近い B. 震源から遠い C. 地盤が必ず硬い D. 震度が必ず大きい |
|
| 5. P波が秒速6km、S波が秒速4kmで伝わり、初期微動継続時間が10秒のとき、震源からの距離は何kmですか? |
A. 40km B. 60km C. 120km D. 240km |
|
| 6. 震源から120km離れた地点にS波が30秒で到着しました。S波の速さは秒速何kmですか? |
A. 2km B. 4km C. 6km D. 8km |
|
| 7. 震源から120km離れた地点に秒速6kmのP波が10時00分30秒に到着しました。地震が発生した時刻はいつですか? |
A. 10時00分10秒 B. 10時00分20秒 C. 10時00分30秒 D. 10時00分50秒 |
|
| 8. マグニチュードが表しているものはどれですか? |
A. ある地点での揺れの強さ B. 地震そのものの規模 C. 震源までの距離 D. 初期微動の長さ |
|
| 9. マグニチュードが2増えると、地震のエネルギーはおよそ何倍になりますか? |
A. 2倍 B. 10倍 C. 100倍 D. 1000倍 |
|
| 10. 日本の震度階級について正しいものはどれですか? |
A. 0〜5の6段階 B. 0〜7で、5と6は弱・強に分かれる C. 1〜10の10段階 D. 1〜7の7段階 |
|
| 11. 地震のときに揺れが大きくなりやすい場所として適切なものはどれですか? |
A. 硬い岩盤の上 B. 埋立地などのやわらかい地盤 C. 海から離れた場所すべて D. 震央から遠い場所すべて |
|
10. クイズの後に確認したいページ
地震の基本と計算方法を確認できたら、理解度に合わせて次のページも活用できます。


