【理科のコツ】種子のつくり

中学受験理科/生物分野
種子のつくり・有胚乳種子と無胚乳種子

種子のつくり|胚乳・子葉と有胚乳種子・無胚乳種子を整理しよう

植物の種子は、外側を包む種皮、将来の根・茎・葉になる、発芽に使う養分を蓄える部分などからできています。

このページでは、種子の各部分の名前と役割を確認したうえで、有胚乳種子と無胚乳種子の違いを、インゲン豆やトウモロコシを例に整理します。

中学受験理科では、植物名を暗記するだけでなく、図を見て「どこに養分が蓄えられているか」「各部分が発芽後に何になるか」を説明できることが大切です。

このページで確認できること

  • 種皮、胚、子葉、幼芽、幼根、胚軸、胚乳の役割
  • 胚乳と子葉の違い
  • 有胚乳種子と無胚乳種子の見分け方
  • インゲン豆とトウモロコシの種子のつくり
  • 発芽後に種子の各部分がどう変化するか

種子とは?

種子とは、植物が新しい個体をつくるための構造です。種子の中には、将来の植物の体になると、発芽直後の成長を支える養分が入っています。

種子をまき、水・空気・適切な温度などの条件がそろうと発芽が始まります。

発芽したばかりの植物は、まだ葉を十分に広げて光合成をすることができません。そのため、最初の成長には、種子の中に蓄えられた養分を使います。

種子が発芽して成長する様子

※種子が発芽し、植物が成長していく様子をイメージした画像です。

種子の基本的なつくり

種子のつくりは、まず種皮・胚・養分を蓄える部分に分けて考えましょう。

特に大切なのは、子葉は胚の一部であり、胚乳と胚は別の部分だという点です。

部分 位置や役割 発芽後の変化
種皮 種子の外側を包み、内部を乾燥や衝撃から守る 発芽すると破れ、内側から根や芽が出てくる
将来、植物の体になる部分。子葉、幼芽、幼根、胚軸などを含む 根・茎・葉などへ成長する
子葉 胚の一部。無胚乳種子では、発芽に使う養分を多く蓄えている 種類によって、養分が使われて小さくなるものや、地上へ出るものがある
幼芽 胚の中にある小さな芽 主に茎や葉へ成長する
幼根 胚の中にある小さな根 根へ成長する
胚軸 胚の中で、子葉の下から幼根へ続く軸状の部分 発芽すると伸びる部分の一つ
胚乳 胚の成長に使われる養分を蓄える部分 発芽の過程で養分が使われる

胚は将来の植物の体になる部分

は、よく「植物の赤ちゃん」にたとえられる部分です。幼芽、幼根、胚軸、子葉などを含み、発芽後に新しい植物の体へ成長します。

種子全体が植物の赤ちゃんというよりも、正確には、種子の中にある胚が将来の植物の体になると考えましょう。

胚乳とは?

胚乳とは、種子の中で養分を蓄え、発芽するときの胚の成長を助ける部分です。

発芽直後の植物は、まだ葉を広げて十分に光合成をすることができません。そこで、種子の中に蓄えられた養分を使って、根や芽を伸ばします。

胚乳と胚の違い

  • :将来、根・茎・葉などになる部分
  • 胚乳:胚の成長に使う養分を蓄える部分

名前は似ていますが、胚乳そのものが根や茎になるわけではありません。胚乳は、胚が成長するための養分を供給します。

米やトウモロコシの胚乳

米やトウモロコシでは、私たちが食べている部分の多くが胚乳にあたります。胚乳には、発芽に使われるデンプンなどの養分が蓄えられています。

動画で種子のつくりを確認しよう

動画では、有胚乳種子と無胚乳種子の違いを図とともに確認できます。次の点に注目して見てみましょう。

  • 胚乳と胚が、それぞれどの部分にあるか
  • インゲン豆では、どこに養分が蓄えられているか
  • トウモロコシでは、胚乳と胚の大きさがどのように違うか

種子のつくりを学ぶ中学受験理科のイメージ

※動画では、身近な例えを使いながら、有胚乳種子と無胚乳種子の違いを解説しています。

有胚乳種子と無胚乳種子の違い

種子は、成熟した種子に胚乳が残っているかどうかによって、有胚乳種子と無胚乳種子に分けられます。

  • 有胚乳種子:成熟した種子にも胚乳が残っている
  • 無胚乳種子:成熟した種子には胚乳がほとんど残っていない

無胚乳種子でも、種子ができる途中には胚乳が生じます。中学受験理科では、種子が成熟する途中で胚乳の養分が胚に取り込まれ、子葉に蓄えられるため、成熟時には胚乳がほとんど残らないと整理します。

有胚乳種子と無胚乳種子の違いを示す図

※有胚乳種子と無胚乳種子で、養分を蓄える主な部分が異なることを確認しましょう。

有胚乳種子と無胚乳種子を表で比較

比較する項目 有胚乳種子 無胚乳種子
成熟時の胚乳 胚乳が残っている 胚乳がほとんど残っていない
養分を蓄える主な部分 胚乳 子葉
図で確認する部分 胚乳と胚の位置 胚の中で大きく発達した子葉
発芽時に使う養分 主に胚乳に蓄えられた養分 主に子葉に蓄えられた養分
発芽後の変化 胚乳に蓄えられた養分が使われる インゲン豆などでは、子葉の養分が使われて子葉が小さくなる
代表例 トウモロコシ、小麦、稲、柿 インゲン豆、ひまわり

覚え方は分類基準ではなく補助として使おう

トウモロコシ、小麦、稲など、主食として利用される植物には有胚乳種子が多くあります。そのため、代表例を覚えるきっかけとして利用できます。

ただし、主食かどうかは植物学上の分類基準ではありません。柿は有胚乳種子であり、ひまわりは豆ではありませんが無胚乳種子です。

最後は、成熟した種子に胚乳が残っているかと、代表的な植物名を確認しましょう。

代表的な種子のつくりを比べよう

中学受験では、無胚乳種子の代表としてインゲン豆、有胚乳種子の代表としてトウモロコシがよく扱われます。

植物名だけで覚えず、種皮、子葉、胚乳、幼芽、幼根の位置に注目して比べましょう。

種子のつくりと有胚乳種子・無胚乳種子の違い

※植物ごとに、胚乳と子葉のどちらに養分が蓄えられているかを確認しましょう。

インゲン豆の種子のつくり

インゲン豆は、無胚乳種子の代表例です。また、子葉を2枚持つ双子葉類に分類されます。

  • 種皮:種子の外側を包み、内部を守る
  • 子葉:大きな2枚の部分で、発芽に使う養分を蓄える
  • 幼芽:2枚の子葉の間にあり、主に茎や葉へ成長する
  • 幼根:根へ成長する
  • 胚軸:子葉の下から幼根へ続く軸状の部分

インゲン豆の種皮を取り除いたときに見える大きな2枚の部分が、子葉です。

発芽すると、子葉に蓄えられた養分が幼根や幼芽の成長に使われます。養分が使われるにつれて、子葉はしぼんだり小さくなったりします。

トウモロコシの種子のつくり

トウモロコシは、有胚乳種子の代表例です。成熟した種子にも大きな胚乳が残り、種子の内部の多くを占めています。

  • 胚乳:種子の大部分を占め、発芽に使う養分を蓄える
  • :胚乳の端にあり、幼芽、幼根、子葉などを含む
  • 子葉:1枚ある

中学受験では、トウモロコシは大きな胚乳に養分を蓄える有胚乳種子であることを、まず押さえましょう。

インゲン豆とトウモロコシの違い

  • インゲン豆は、2枚の大きな子葉に養分を蓄える
  • トウモロコシは、大きな胚乳に養分を蓄える
  • どちらも胚を持ち、幼芽や幼根が新しい植物の体へ成長する

図で確認するポイント

  1. 種子の外側にある種皮を確認する
  2. 将来の植物になる胚の位置を探す
  3. 発達した子葉と胚乳のどちらが見られるかを確認する
  4. 養分を蓄えている部分を判断する

発芽すると種子の各部分はどうなる?

種子が発芽すると、一般には次のように成長が進みます。

  1. 種子が水を吸収してふくらむ
  2. 種皮が破れ、幼根が伸び始める
  3. 幼芽や胚軸が成長する
  4. 葉が開き、光合成を始める
  5. 種子内の養分に頼る成長から、自分で養分をつくる成長へ移る

有胚乳種子では主に胚乳の養分が、無胚乳種子では主に子葉の養分が使われます。

葉が十分に開いて光合成が始まるまでは、種子の中に蓄えられた養分が成長を支えます。

発芽に必要な条件

中学受験理科で、発芽に必要な基本条件として扱われるのは、次の3つです。

  • 空気
  • 適切な温度

水は種子の活動を始めるために必要です。空気に含まれる酸素は、発芽に必要なエネルギーを取り出す呼吸に使われます。また、種子の中の働きが進むためには、植物に合った温度が必要です。

光や土は、中学受験で扱う発芽の基本3条件には含まれません。ただし、実際には光の影響を受ける種子もあり、発芽したあとの成長には光などが必要です。

単子葉類・双子葉類とは分類の基準が異なる

インゲン豆とトウモロコシは、次のように分類されます。

  • インゲン豆:双子葉類・無胚乳種子
  • トウモロコシ:単子葉類・有胚乳種子

この組み合わせだけを見ると、「単子葉類は有胚乳種子、双子葉類は無胚乳種子」と覚えたくなるかもしれません。しかし、両者は分類の基準が異なります。

  • 単子葉類・双子葉類:子葉の枚数などによる分類
  • 有胚乳種子・無胚乳種子:成熟した種子に胚乳が残っているかによる分類

必ず同じ組み合わせになるわけではないため、それぞれの分類基準と代表例を分けて確認しましょう。

植物の分類表|被子植物一覧と単子葉類・双子葉類の違い確認では、種子の学習とつながる植物分類をまとめて確認できます。

種子のつくりの要点

  • 種子の中にあるが、将来の根・茎・葉などになる
  • 胚乳は、胚の成長に使う養分を蓄える部分
  • 有胚乳種子は成熟時にも胚乳が残り、無胚乳種子は主に子葉に養分を蓄える
  • インゲン豆では大きな2枚の子葉、トウモロコシでは大きな胚乳に注目する
  • 発芽すると、幼根が根に、幼芽が主に茎や葉に成長する

クイズで種子のつくりを確認しよう

名称だけでなく、各部分の役割や発芽後の変化まで説明できるか確認してみましょう。

1. 将来、根や茎、葉などになる部分はどこですか?

A. 種皮
B. 胚
C. 胚乳
D. 果皮

正解:B. 胚

胚には幼芽、幼根、胚軸、子葉などが含まれ、発芽後に植物の体へ成長します。

2. インゲン豆の大きな2枚の部分は何ですか?

A. 胚乳
B. 子葉
C. 幼根
D. 種皮

正解:B. 子葉

インゲン豆は無胚乳種子で、発芽に使う養分を大きな2枚の子葉に蓄えています。

3. 無胚乳種子の成熟時に、胚乳がほとんど残らないのはなぜですか?

A. 胚乳が種皮の外へ出るから
B. 胚乳の養分が胚に取り込まれ、子葉に蓄えられるから
C. 胚乳が根になるから
D. 胚乳が水になるから

正解:B. 胚乳の養分が胚に取り込まれ、子葉に蓄えられるから

無胚乳種子でも、種子ができる途中には胚乳が生じます。

4. トウモロコシで、養分を多く蓄えている部分はどこですか?

A. 胚乳
B. 幼根
C. 種皮
D. 幼芽

正解:A. 胚乳

トウモロコシは有胚乳種子で、成熟した種子にも大きな胚乳が残っています。

5. インゲン豆の子葉が発芽後に小さくなるのはなぜですか?

A. 子葉が根へ変わるから
B. 子葉に蓄えられた養分が使われるから
C. 子葉が種皮になるから
D. 子葉が水に溶けるから

正解:B. 子葉に蓄えられた養分が使われるから

子葉の養分は、幼根や幼芽が成長するために使われます。

6. 単子葉類と有胚乳種子が同じ分類ではないのはなぜですか?

A. 種子の色が違うから
B. 分類の基準が異なるから
C. 発芽する季節が違うから
D. 種子の大きさが違うから

正解:B. 分類の基準が異なるから

単子葉類・双子葉類は子葉の枚数など、有胚乳種子・無胚乳種子は成熟時の胚乳の有無を基準にします。

7. 発芽に必要な基本条件の組み合わせはどれですか?

A. 水・空気・適切な温度
B. 水・光・土
C. 肥料・光・空気
D. 土・肥料・適切な温度

正解:A. 水・空気・適切な温度

中学受験理科では、水・空気・適切な温度を発芽の基本3条件として扱います。

種子のつくりについてよくある質問

無胚乳種子には、最初から胚乳がないのですか?

最初からまったくないという意味ではありません。中学受験理科では、種子が成熟する途中で胚乳の養分が胚に取り込まれ、子葉に蓄えられるため、成熟した種子には胚乳がほとんど残らないと整理します。

胚と胚乳は同じ部分ですか?

同じ部分ではありません。胚は将来の植物の体になる部分で、胚乳は胚の成長に使う養分を蓄える部分です。

胚乳と子葉は何が違いますか?

胚乳は、発芽するときの成長に使われる養分を蓄える部分です。子葉は胚の一部で、無胚乳種子では発芽に使う養分を多く蓄えています。

単子葉類はすべて有胚乳種子ですか?

単子葉類と有胚乳種子は分類の基準が異なるため、同じ意味ではありません。子葉の枚数と、成熟時に胚乳が残っているかを分けて確認しましょう。

発芽に光や土は必要ですか?

中学受験理科で扱う発芽の基本条件は、水・空気・適切な温度です。光や土は基本3条件には含まれませんが、発芽後の成長には光などが必要です。また、種類によっては光が発芽に影響する種子もあります。

理解できたか確認し、必要な単元を見直そう

種子のつくりでは、植物名を覚えるだけでなく、各部分の位置・役割・発芽後の変化をつなげて説明できることが大切です。

次の内容を自分の言葉で説明できるか確認しましょう。

  • 胚と胚乳の違い
  • 子葉が胚の一部であること
  • インゲン豆の大きな2枚の部分が子葉であること
  • トウモロコシでは胚乳に養分が蓄えられていること
  • 幼芽、幼根、胚乳、子葉が発芽後にどう変化するか

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