【理科のコツ】血液の循環

中学受験/理科・生物
テーマ:血液の循環と成分

血液の循環と成分をイメージで理解する──心臓・血管・血液の基礎

「右心房? 左心室? 動脈血と静脈血がごちゃごちゃになる…」
そんな受験生がつまずきやすい心臓・血管・血液の単元を、
図とストーリーで一気に整理していきます。
動脈と静脈、肺循環の「例外」、血液の4つの成分まで、入試でよく聞かれるポイントをまとめて確認しましょう。

動画でイメージをつかもう

まずは動画で血液の旅をイメージしましょう。
このページでは、動画の内容をもとにテキスト+図+表で復習できるように整理しています。

心臓の基本構造をおさえよう

心臓は4つの部屋に分かれています。

  • 右心房
  • 右心室
  • 左心房
  • 左心室

「房」と「室」のイメージも大事です。

名前 イメージ 役割のイメージ
心房(右心房・左心房) やや狭い部屋(「厨房」の「房」と同じ字) 戻ってきた血液をいったん受け取る場所
心室(右心室・左心室) 広い部屋 ポンプの力で血液を押し出す場所

テストでは、右と左を自分の右・左で考えてしまうミスが多いので注意。
図では「患者さんを正面から見た」向きで描かれていることを意識しましょう。

左心房、右心房、左心室、右心室を説明する心臓の図

心臓の4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)の位置関係を図で確認しておこう。

血液の流れをストーリーで理解する

ここでは、自分が血液になったつもりで体の中を一周してみましょう。

順番 行き先 血液の状態 ポイント
左心房 → 左心室 酸素たっぷりの動脈血 肺で酸素を受け取った血液の出発地点
全身(筋肉・臓器・脳など) 酸素を配り、二酸化炭素を受け取る 呼吸(細胞呼吸)でエネルギーをつくる場所
右心房 → 右心室 二酸化炭素まみれの静脈血 全身から戻ってきた「おつかれ血液」が集まる
肺(肺動脈 → 肺静脈) CO2を捨て、O2を受け取る 肺胞と毛細血管でガス交換が行われる
再び左心房へ また酸素たっぷりの動脈血 ここから再び全身へ──「循環」が続く

呼吸は「息をすること」+「細胞でエネルギーを作ること」

私たちが「呼吸」と聞いてイメージするのは、鼻や口から空気を出し入れすることですが、
理科ではもう一段階踏み込んで考えます。

呼吸=酸素を使ってエネルギーを作り、二酸化炭素を出す化学反応
そのために、血液が酸素(O2)を届け、いらなくなった二酸化炭素(CO2)を回収しているのです。

「呼吸はエネルギーを作り出す化学反応です。酸素を使ってエネルギーを作って、
いらないといって二酸化炭素を捨てています。」

動脈・静脈と動脈血・静脈血の「ズレ」に注意!

まずは「血管の名前」の定義から

ややこしくなる一番の原因は、血管の名前血液の中身を混同してしまうことです。

  • 動脈:心臓から出ていく血管
  • 静脈:心臓に戻ってくる血管

したがって、次のような血管名になります。

血管名 心臓との関係 ふつうの中身
大動脈 心臓(左心室)から全身へ出ていく 酸素たっぷりの動脈血
大静脈 全身から心臓(右心房)へ戻ってくる 二酸化炭素が多い静脈血

肺循環では「血管名」と「血液の中身」が逆転する

肺に出入りする血管では、名前と中身の組み合わせが入試のひっかけポイントになります。

「肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れているという肺循環と呼ばれる場所は、
血液と血管が逆になります。」

血管名 心臓との関係 血液の中身 ポイント
肺動脈 右心室 → 肺 二酸化炭素が多い静脈血 「動脈」だけど静脈血が流れる
肺静脈 肺 → 左心房 酸素が多い動脈血 「静脈」だけど動脈血が流れる

「名前は心臓との出入りで決まり、中身は酸素・二酸化炭素の量で決まる」
この2軸を分けて考えれば、肺動脈・肺静脈の問題も怖くありません。

血液の4つの成分と役割

あの真っ赤な血液は、実は4つの成分が集まってできた「チーム」です。

成分 主な役割
赤血球 酸素(O2)を運ぶ。血液が赤い主な理由。
白血球 体内に入ってきたバイ菌やウイルスを退治する免疫のディフェンダー。
血小板 血液を固めてかさぶたをつくる。血液凝固に関わる。
血しょう 栄養分・ホルモン・老廃物などを運ぶ液体の部分。涙などは血しょうがろ過されたもの。

※赤血球は、1mm×1mm×1mmの立方体の中に約500万個も詰まっていると言われています。

赤血球、白血球、血小板、血しょうの役割を説明する図解

「個体成分(赤血球・白血球・血小板)」と「液体成分(血しょう)」をセットで覚えよう。

血液の循環と成分のまとめ

項目 内容
心臓の構造 ・右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれる。
・「房」は狭い部屋、「室」は広い部屋とイメージすると覚えやすい。
血液の流れ ・左心房 → 左心室 → 全身 → 右心房 → 右心室 → 肺 → 左心房と循環する。
・肺で二酸化炭素を放出し、酸素を取り込む(肺循環)。
動脈と静脈 ・動脈:心臓から出ていく血管。大動脈など。
・静脈:心臓に戻る血管。大静脈など。
・肺動脈:静脈血が流れる動脈。
・肺静脈:動脈血が流れる静脈。
血液の成分 ・赤血球:酸素を運ぶ。
・白血球:免疫を担い、バイ菌を退治する。
・血小板:血液を固め、かさぶたを作る。
・血しょう:栄養や老廃物などを運ぶ液体部分。

ここまでの内容を図・表・言葉で結びつけておくと、入試問題でも状況がイメージしやすくなります。

理解度チェッククイズ(10問)

最後に、知識が「わかったつもり」になっていないか、クイズでチェックしてみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンをクリックすると解答が表示されます。

問題 選択肢 正解
1. 心臓の部屋で最も広い部分はどれ? A. 右心房
B. 右心室
C. 左心房
D. 左心室

2. 血液が肺で行う主な役割は? A. 二酸化炭素を取り込む
B. 酸素を取り込む
C. 血小板を増やす
D. 白血球を減らす

3. 静脈血が流れる動脈はどれ? A. 大動脈
B. 肺動脈
C. 肺静脈
D. 大静脈

4. 血液中で酸素を運ぶ成分は? A. 赤血球
B. 白血球
C. 血小板
D. 血しょう

5. 動脈血が流れる静脈はどれ? A. 大動脈
B. 肺静脈
C. 肺動脈
D. 大静脈

6. 血しょうの役割は何? A. 酸素を運ぶ
B. 免疫を担う
C. 栄養や老廃物を運ぶ
D. 血液を固める

7. 二酸化炭素まみれの血液の名称は? A. 動脈血
B. 静脈血
C. 血しょう
D. 赤血球

8. 心臓から全身に送り出される血管は? A. 大動脈
B. 肺動脈
C. 大静脈
D. 肺静脈

9. 血小板の主な役割は? A. 酸素を運ぶ
B. 免疫を担う
C. 血液を固める
D. 老廃物を運ぶ

10. 肺で起こるガス交換の目的は? A. 酸素を取り込む
B. 二酸化炭素を排出する
C. 両方
D. どちらでもない

まとめ──「流れ」と「中身」をセットで覚える

  • 心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)に分かれる。
  • 血液は全身循環+肺循環で、酸素と二酸化炭素を運びながら絶えず循環している。
  • 血管の名前は心臓から出ていくか/戻るかで決まり、血液の名前は酸素・二酸化炭素の量で決まる。
  • 肺動脈・肺静脈では血管名と中身が逆になるため、入試で狙われやすい。
  • 血液の4成分(赤血球・白血球・血小板・血しょう)を役割とセットで覚えれば、記述問題にも対応しやすい。

「どこを流れている血液なのか」「その血液の中身はどうなっているか」を同時にイメージできるようになると、
図表問題や文章題にぐっと強くなります。

血液の単元を「図でわかる」得点源にしよう

血液の循環は、心臓・血管・呼吸・エネルギーづくりが一気につながる超重要単元です。
「文章だけで暗記」ではなく、図・表・ストーリーで理解しておくと、入試問題の読み解き方が大きく変わります。

  • 教科書や問題集の心臓図に、自分で矢印を書き込んで血液の旅を再現する
  • 「肺動脈/肺静脈」「動脈血/静脈血」を自作の対比表で整理しておく
  • 今日のクイズで間違えたところを、ノートに言葉+図+一言メモで書き残す

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