肺の仕組みと肺胞の役割|酸素と二酸化炭素の交換【理科のコツ】

小学6年生〜中学理科/生物分野
テーマ:肺胞とガス交換

肺の仕組みと肺胞の役割|酸素と二酸化炭素はどこで出し入れする?

人は、肺の奥にある肺胞で酸素を血液に取り入れ、二酸化炭素を血液から肺胞へ出しています。取り入れられた酸素は血液によって心臓を通り、全身の細胞へ運ばれます。

酸素と二酸化炭素の流れ

  1. 鼻や口から入った酸素が、気管・気管支を通って肺胞へ届く
  2. 酸素が肺胞から血液へ移る
  3. 酸素が主に赤血球のヘモグロビンと結びつき、心臓を通って全身へ運ばれる
  4. 全身の細胞で酸素が使われ、二酸化炭素が生じる
  5. 二酸化炭素が血液によって心臓を通り、肺へ戻る
  6. 二酸化炭素が血液から肺胞へ移り、息をはくときに体外へ出る

このページでは、肺と肺胞の構造、ガス交換、赤血球とヘモグロビン、肺動脈と肺静脈、横隔膜の動きまでを順に解説します。最初に小学校理科でも扱う基本的な流れを確認し、その後に中学理科の用語を補足します。

1. 人は体のどこで、どのように酸素と二酸化炭素を出し入れするのか

酸素と二酸化炭素を直接交換する場所は、肺の奥にある肺胞です。肺胞の表面には毛細血管が広がっており、空気と血液が非常に近い位置で接しています。

肺胞での外呼吸と全身の細胞での細胞呼吸のつながりを示す図
肺胞では空気と血液の間でガス交換が行われ、全身の細胞では栄養分と酸素から活動に必要なエネルギーが取り出されます。
場所 酸素と二酸化炭素の動き
鼻・口 酸素を含む空気を体内へ取り入れます。
気管・気管支 取り入れた空気を肺の奥へ運びます。
肺胞 酸素が肺胞から血液へ移り、二酸化炭素が血液から肺胞へ移ります。
血液と心臓 酸素を全身へ運び、二酸化炭素を肺へ戻します。
全身の細胞 血液から酸素を受け取り、活動に必要なエネルギーを取り出します。その過程で二酸化炭素が生じます。

肺胞

肺の奥にある小さな袋です。表面に毛細血管があり、空気と血液の間で酸素と二酸化炭素を交換します。

ガス交換

酸素は肺胞から血液へ、二酸化炭素は血液から肺胞へ移動します。二つの気体は反対方向へ移動します。

血液による運搬

酸素は主に赤血球のヘモグロビンと結びついて全身へ運ばれます。二酸化炭素は血液によって肺へ戻されます。

2. 肺と肺胞の構造|空気はどのように肺胞へ届くのか

肺は、胸の中にある呼吸のための器官です。肺の内部では気管支が細かく枝分かれし、その先に多数の肺胞があります。

気管支が枝分かれした肺とブドウ房状の肺胞、毛細血管でのガス交換を示す図
肺の中では気管支が細かく枝分かれし、その先にブドウ房のような肺胞が集まっています。肺胞の壁は薄く、まわりを毛細血管が取り囲んでいます。
鼻や口から気管・気管支を通って肺胞へ届く空気と、毛細血管でのガス交換を示す図
酸素:肺胞から血液へ二酸化炭素:血液から肺胞へ。肺胞と毛細血管が接する場所でガス交換が行われます。

空気が肺胞へ届くまで

空気は、次の順番で肺の奥へ入ります。

  1. 鼻・口
  2. 気管
  3. 気管支
  4. 肺胞

肺胞の表面には毛細血管が密着しています。肺胞の中の空気と毛細血管を流れる血液が近接することで、気体を交換しやすくなっています。

肺と肺胞の違い

は胸の中にある器官全体の名称です。肺胞は肺の奥に多数ある小さな袋で、酸素と二酸化炭素を交換する場所です。

肺胞の特徴 特徴が役立つ理由 問題での答え方
小さな袋が多数ある 空気と血液がふれる表面積が大きくなる ガス交換を行う面積を広げるため
毛細血管に囲まれている 肺胞の空気と血液が近い位置で接する 酸素と二酸化炭素を交換しやすくするため
壁がうすい 酸素と二酸化炭素が移動する距離が短くなる 気体を効率よく移動させるため

3. 肺胞では、なぜ酸素と二酸化炭素が反対方向へ移動するのか

肺胞の中には、息を吸って取り入れた酸素が多くあります。一方、全身から肺へ戻ってきた血液には、酸素が少なく、二酸化炭素が多く含まれています。

酸素や二酸化炭素は、肺胞と血液の間にある気体の濃さの違いによって、濃い側から薄い側へ移動します。中学理科では、このように物質が広がる現象を拡散と呼びます。より詳しく学ぶ段階では、気体の分圧の違いによって移動すると説明されます。

酸素の移動

肺胞 → 血液

肺胞の空気は血液より酸素の濃さが高いため、酸素は肺胞から血液へ移ります。

二酸化炭素の移動

血液 → 肺胞

肺へ来た血液は肺胞の空気より二酸化炭素の濃さが高いため、二酸化炭素は血液から肺胞へ移ります。

肺へ来る血液 肺胞で起こること 肺から出る血液
  • 酸素が少ない
  • 二酸化炭素が多い
  • 全身の細胞から戻ってきた血液
  • 酸素が肺胞から血液へ移る
  • 二酸化炭素が血液から肺胞へ移る
  • 肺胞と血液の間でガス交換が行われる
  • 酸素が多い
  • 二酸化炭素が少ない
  • 心臓を通って全身へ送られる

4. 酸素は血液によって体のどこへ運ばれるのか

肺胞から血液へ入った酸素は、血液によって心臓へ運ばれます。その後、心臓のはたらきによって、脳、筋肉、内臓などの全身の細胞へ送られます。

酸素と栄養分が生物の活動や成長に使われる関係を示す図
人や動物は食べ物から得た栄養分を、植物は光合成でつくった栄養分を、酸素とともに細胞呼吸に利用し、活動や成長に必要なエネルギーを取り出します。

赤血球とヘモグロビンが酸素を運ぶ仕組み

血液中の赤血球には、赤い色素であるヘモグロビンが含まれています。肺で血液中に入った酸素の多くは、このヘモグロビンと結びついて運ばれます。

  1. 肺胞から酸素が血液へ移る
  2. 酸素が赤血球中のヘモグロビンと結びつく
  3. 血液が心臓を通って全身へ送られる
  4. 全身の細胞の近くで酸素がヘモグロビンから離れ、細胞へ渡される

二酸化炭素が肺へ戻る流れ

全身の細胞で生じた二酸化炭素は血液に取り込まれます。その血液は心臓を通って肺へ送られ、肺胞のまわりの毛細血管まで戻ります。二酸化炭素は血液から肺胞へ移り、息をはくときに体外へ出ます。

肺動脈と肺静脈を流れる血液の違い

動脈と静脈は、酸素の多さではなく、心臓から出ていくか、心臓へ戻るかによって区別されます。そのため、肺動脈と肺静脈では、一般的な体循環の動脈・静脈とは酸素の多さが逆になります。

血管 血液が進む方向 酸素と二酸化炭素
肺動脈 心臓から肺へ向かう 酸素が少なく、二酸化炭素が多い血液が流れる
肺静脈 肺から心臓へ戻る 酸素が多く、二酸化炭素が少ない血液が流れる

肺と心臓の間を流れる血液を詳しく確認する

肺胞で酸素を受け取った血液は肺静脈を通って心臓へ戻り、その後、全身へ送り出されます。全身から戻った血液は、心臓から肺動脈を通って肺へ送られます。

肺循環・体循環と心臓の血液の流れを学ぶ

5. 吸う空気とはく空気は何が違うのか

肺胞でガス交換が行われるため、息を吸うときの空気と、息をはくときの空気では、酸素、二酸化炭素、水蒸気の量が異なります。

成分 吸う空気 はく空気 変化する理由
酸素 多い 吸う空気より少ない 一部が肺胞から血液へ取り込まれるため
二酸化炭素 少ない 吸う空気より多い 血液から肺胞へ移った二酸化炭素が含まれるため
水蒸気 比較的少ない 多い 気道や肺の内部が湿っているため
窒素 多い 大きくは変わらない 体内でほとんど利用されないため

石灰水を使って二酸化炭素を確かめる

はいた息を石灰水に通すと、石灰水が白くにごります。これは、はいた息に含まれる二酸化炭素が石灰水と反応するためです。小学校理科では、吸う空気とはく空気の違いを確かめる実験として扱われます。

6. 呼吸運動|横隔膜と胸の動きで空気が出入りする

肺自体には、空気を吸い込むための筋肉がありません。横隔膜や肋骨のまわりの筋肉が動いて胸の中の空間が広がると、肺も引っ張られるようにふくらみ、空気が入ります。胸の中の空間が小さくなると肺がしぼみ、空気が外へ出ます。

動き 横隔膜と胸の変化 肺と空気の動き
息を吸うとき
  • 横隔膜が下がる
  • 肋骨が上がる
  • 胸の中の空間が広がる
  • 肺がふくらむ
  • 空気が体の外から肺へ入る
息をはくとき
  • 横隔膜が上がる
  • 肋骨が下がる
  • 胸の中の空間が小さくなる
  • 肺がしぼむ
  • 空気が肺から体の外へ出る

図の問題では、横隔膜の上下、胸の中の空間の広さ、空気が動く方向をセットで考えます。吸うときは横隔膜が下がり、はくときは横隔膜が上がると覚えましょう。

7. 外呼吸・内呼吸・細胞呼吸はどう違うのか

「呼吸」という言葉は、教材や説明する範囲によって異なる意味で使われます。特に、外呼吸、内呼吸、細胞呼吸を区別しておくことが大切です。

用語 主な場所 起きていること
外呼吸 肺胞と血液の間 酸素が肺胞から血液へ、二酸化炭素が血液から肺胞へ移る
内呼吸 血液と全身の組織・細胞の間 酸素が血液から細胞側へ、二酸化炭素が細胞側から血液へ移る
細胞呼吸 細胞内 酸素を使って栄養分からエネルギーを取り出し、二酸化炭素や水を生じる

用語の扱いに注意

教材によっては、「内呼吸」を細胞内で行われる呼吸まで含めて説明する場合があります。問題を解くときは、教科書や問題文がどの意味で使っているかを確認しましょう。

8. 光合成と細胞呼吸の関係|物質の向きを比べる

植物が行う光合成と、細胞が行う細胞呼吸は、使う物質と生じる物質を比べると、ほぼ逆向きの関係として整理できます。

反応 式のイメージ ポイント
細胞呼吸 酸素+グルコース
→ エネルギー+二酸化炭素+水
  • 人間・動物・植物の細胞で行われる
  • エネルギーを取り出す
  • 二酸化炭素と水が生じる
光合成 二酸化炭素+水
→ グルコース+酸素
  • 植物の葉にある葉緑体で行われる
  • 栄養分をつくる
  • 酸素が発生する

細胞呼吸はエネルギーを取り出す反応光合成は栄養分をつくる反応と考えると、酸素・二酸化炭素・水の関係を整理しやすくなります。

植物の光合成や呼吸も確認したい人へ

植物がどこから水や二酸化炭素を取り入れ、葉でどのようにはたらくのかを確認すると、細胞呼吸との違いを整理しやすくなります。

植物のつくりとはたらきを解説した記事を見る

動画で肺胞・毛細血管・呼吸運動を確認する

ここまでの説明を確認した後に動画を見ると、肺の各部分の位置と動きを結びつけやすくなります。特に次の点に注目してください。

  • 空気が気管・気管支を通って肺の奥へ進む流れ
  • 肺胞と毛細血管が接している位置
  • 息を吸うときとはくときの胸や横隔膜の動き

動画を見た後は、酸素と二酸化炭素の向き、横隔膜の上下、肺胞が多数ある理由を確認しましょう。

9. 肺の仕組みと酸素の運ばれ方についてのよくある質問

本文を読んだ後に残りやすい疑問を、短い回答で確認します。

Q. 人は体のどこで酸素と二酸化炭素を出し入れしますか?

肺の奥にある肺胞で出し入れします。酸素は肺胞から血液へ移り、二酸化炭素は血液から肺胞へ移ります。

Q. 肺に入った酸素はどのように全身へ運ばれますか?

酸素は肺胞から血液へ入り、主に赤血球中のヘモグロビンと結びつきます。その後、血液が心臓を通り、全身の細胞へ酸素を運びます。

Q. 赤血球とヘモグロビンは何をしていますか?

赤血球は血液中にある細胞で、その中にはヘモグロビンが含まれています。ヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、全身の細胞の近くで酸素を離します。

Q. 肺動脈と肺静脈では、どちらに酸素が多いですか?

酸素が多い血液が流れるのは肺静脈です。肺動脈には、全身から戻ってきた酸素が少なく二酸化炭素が多い血液が流れます。

Q. 吸う空気とはく空気では、酸素と二酸化炭素の量がどう変わりますか?

はく空気は、吸う空気より酸素が少なく、二酸化炭素と水蒸気が多くなります。

Q. 肺と肺胞は何が違いますか?

肺は胸の中にある呼吸器官全体です。肺胞は肺の奥に多数ある小さな袋で、酸素と二酸化炭素を交換する場所です。

Q. 肺胞では、なぜ酸素と二酸化炭素が反対方向へ移動するのですか?

肺胞の空気と血液で、酸素と二酸化炭素の濃さが異なるためです。それぞれの気体が濃い側から薄い側へ移動します。

Q. 肺胞は何のためにたくさんあるのですか?

空気と血液がふれる表面積を大きくするためです。表面積が広いほど、酸素と二酸化炭素を効率よく交換できます。

Q. 外呼吸、内呼吸、細胞呼吸はどう違いますか?

外呼吸は肺胞と血液の間のガス交換、内呼吸は血液と全身の組織・細胞の間のガス交換、細胞呼吸は細胞内で酸素を使ってエネルギーを取り出す反応です。教材によって用語の使い方が異なる場合があります。

Q. 息を吸うとき、横隔膜はどう動きますか?

横隔膜は下がります。胸の中の空間が広がり、肺がふくらんで空気が入ります。

10. 確認クイズで理解をチェック

本文で学んだ内容を、基本問題と発展問題に分けて確認します。各問題を開くと、選択肢と正解が表示されます。

基本問題|肺胞・ガス交換・呼吸運動

1. 人が酸素と二酸化炭素を直接交換する場所はどこですか?

A. 気管 B. 肺胞 C. 心臓 D. 胃

正解:B. 肺胞

2. 肺胞が小さな袋状で多数ある主な理由は何ですか?

A. 表面積を広げるため B. 血液をつくるため C. 空気を温めるため D. 心臓を守るため

正解:A. 表面積を広げるため

3. はく空気について正しいものはどれですか?

A. 吸う空気より酸素が多い B. 吸う空気より二酸化炭素が多い C. 水蒸気を含まない D. 窒素がなくなる

正解:B. 吸う空気より二酸化炭素が多い

4. 息を吸うときの横隔膜の動きとして正しいものはどれですか?

A. 上がる B. 下がる C. 動かない D. 血液をつくる

正解:B. 下がる

発展問題|血液循環・ヘモグロビン・細胞呼吸

5. 酸素が肺胞から血液へ入った後、主に結びつくものは何ですか?

A. 血小板 B. ヘモグロビン C. 石灰水 D. 胆汁

正解:B. ヘモグロビン

6. 肺動脈を流れる血液の特徴として正しいものはどれですか?

A. 酸素が多い B. 酸素が少なく二酸化炭素が多い C. 血液が流れない D. 栄養分だけを運ぶ

正解:B. 酸素が少なく二酸化炭素が多い

7. 肺静脈を流れる血液の特徴として正しいものはどれですか?

A. 肺から心臓へ戻り、酸素が多い B. 心臓から肺へ向かい、酸素が少ない C. 血液ではなく空気が流れる D. 二酸化炭素だけが流れる

正解:A. 肺から心臓へ戻り、酸素が多い

8. 細胞呼吸で行われることはどれですか?

A. 肺胞で気体を交換する B. 細胞が酸素を使ってエネルギーを取り出す C. 気管が空気を運ぶ D. 横隔膜が血液を運ぶ

正解:B. 細胞が酸素を使ってエネルギーを取り出す

11. まとめ|酸素と二酸化炭素の流れをつなげて覚える

  • 空気は、鼻や口から気管・気管支を通って肺胞へ届く。
  • 肺胞では、酸素が血液へ入り、二酸化炭素が血液から肺胞へ出る。
  • 酸素の多くは赤血球のヘモグロビンと結びつき、心臓を通って全身へ運ばれる。
  • 全身の細胞で生じた二酸化炭素は、血液によって肺へ戻される。
  • 横隔膜や肋骨の動きによって胸の中の広さが変わり、肺に空気が出入りする。

肺胞だけを単独で覚えるのではなく、空気、肺胞、血液、心臓、全身の細胞を一つの流れとして説明できるようにすることが大切です。

呼吸と血液循環をつなげて学ぶ

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