ものの溶け方と溶解度|溶質・溶媒・溶液と溶解度曲線【理科のコツ】

小5〜中1/ものの溶け方・溶解度
読み時間目安:本文15〜20分(動画除く)

溶質は溶ける物質、溶媒は溶かす液体、溶液は溶質と溶媒が均一に混ざった全体です。水が溶媒になっている溶液を水溶液と呼びます。

ものの溶け方では、これらの用語に加えて、溶解度曲線の読み取り、水の量に合わせた比例計算、冷やしたときに出てくる結晶の量などが問われます。

この記事では、主に水を溶媒とする水溶液を扱います。食塩水やミョウバン水溶液を例に、用語、溶解度、飽和水溶液、比例計算、溶け残りや結晶の見分け方まで順番に確認します。

1. 基本用語と「溶けている」状態

溶質・溶媒・溶液の違い

溶質・溶媒・溶液は、「溶ける側」「溶かす側」「できあがった全体」に分けて考えます。

用語 意味 食塩水での例
溶質 溶媒に溶ける物質 食塩
溶媒 溶質を溶かす液体
溶液 溶質と溶媒が均一に混ざった全体 食塩水
水溶液 水を溶媒とする溶液 食塩水

「水溶液に溶けている物質は何か」と聞かれた場合、その物質は溶質です。「何が溶かしているか」と聞かれた場合は、溶媒を答えます。

水溶液 溶質 溶媒
食塩水 食塩
砂糖水 砂糖
ミョウバン水溶液 ミョウバン

溶媒と溶液の違い

食塩水で比べると

  • 水:食塩を溶かす側なので溶媒
  • 食塩水:食塩と水が混ざった後の全体なので溶液

溶媒は、溶質を溶かすために使われる液体だけを指します。溶液は、溶質を溶かした後にできた全体を指します。

溶媒と溶質の違い

溶媒は溶かす側、溶質は溶ける側です。食塩水では、水の中に食塩が溶けるため、水が溶媒、食塩が溶質になります。

溶液と水溶液の違い

水溶液は溶液の一種です。溶液のうち、水が溶媒になっているものを水溶液と呼びます。

  • 食塩水、砂糖水、ミョウバン水溶液は、水が溶媒なので水溶液です。
  • 「溶液」という言葉だけでは、溶媒が水とは限りません。

水溶液に溶けている物質は何と呼ぶか

水溶液に溶けている物質は溶質と呼びます。食塩水では食塩、砂糖水では砂糖、ミョウバン水溶液ではミョウバンが溶質です。

物質が「溶けている」とはどのような状態か

液全体が均一になっている水溶液の例

水溶液は液全体が均一です。無色とは限らず、色が付いていても濁っていない水溶液があります。

物質が水に溶けている状態には、次のような特徴があります。

  • 液の上・中・下で濃さが同じになり、全体が均一である
  • 時間がたっても、溶けた物質が底に分かれてこない
  • ろ紙でこしても、溶けた物質を分けられない
  • 色が付いていても、濁っていなければ透明な場合がある

溶解と融解の違い

  • 溶解:食塩などが水の中に広がり、均一な水溶液になること
  • 融解:氷などの固体が、同じ物質の液体に変わること

食塩が水に溶けるのは溶解、氷が水になるのは融解です。固体・液体・気体の変化も確認したい場合は、融解・凝固などの状態変化の名前も参考になります。

動画で「ものが水に溶ける状態」を確認する

動画では、ものが水に溶ける状態や溶解度の基本を確認できます。用語を確認した後に見ると、本文とのつながりを整理しやすくなります。

2. 溶解度と飽和水溶液

温度と水100立方センチメートルに溶ける量の関係を示す曲線グラフ

横軸は温度、縦軸は水100cm³に溶ける物質の量です。温度が高くなるほど、曲線で示された物質の溶ける量が増えています。

溶解度は水100gを基準にする

溶解度とは、ある温度で、溶媒100gに溶ける溶質の最大質量を表す値です。

この記事では水溶液を扱うため、以後は水100gに溶ける物質の最大質量として説明します。

  • 基準になるのは水100gです。
  • 水溶液100gではありません。
  • 同じ物質でも、温度が変わると溶解度が変化します。
  • 同じ温度でも、物質が違えば溶解度は異なります。

溶解度と実際に溶ける量の違い

溶解度は、水100gを基準にした値です。水の量が増えても、同じ物質・同じ温度なら溶解度自体は変わりません

一方、実際に溶ける最大量は、水の量に比例して変わります。

実際に溶ける最大量の式

溶解度 × 実際の水の質量 ÷ 100

たとえば、ある温度での溶解度が30gの場合、水100gには最大30g、水200gには最大60gが溶けます。水が2倍になっても、溶解度は30gのままです。

飽和水溶液とは何か

飽和水溶液とは、ある温度で、溶質が限界まで溶けている水溶液です。

  • 同じ温度では、それ以上溶質を加えても溶けません。
  • さらに加えた物質は、溶け残りとして底に残ります。
  • 多くの固体では、温度を上げると溶解度が大きくなり、さらに溶けるようになります。

3. 溶解度曲線の読み方

横軸・曲線・縦軸の順に読む

溶解度曲線では、いきなり計算を始めず、まず基準となる値を読み取ります。

  1. 横軸の温度を確認する。
  2. その温度から上へ進み、調べる物質の曲線と交わる点を見る。
  3. 交わった点から横へ進み、縦軸の値を読む。
  4. 縦軸の値が、その温度で基準量の水に溶ける最大量になる。
  5. 実際の水の量が基準量と異なる場合は、比例計算をする。

掲載グラフから溶ける量を読む

掲載グラフの目盛りから読み取ると、曲線で示された物質が水100cm³に溶ける量は、およそ次の通りです。

温度 水100cm³に溶ける最大量
20℃ 約5g
60℃ 約15g
90℃ 約30g

グラフの目盛りから読み取ったおよその値です。画像内には物質名が記されていないため、この数値を特定の物質の溶解度として断定せず、グラフの読み取り例として扱います。

たとえば、90℃では水100cm³に約30gまで溶けます。水200cm³の場合は、次のように計算します。

30 × 200 ÷ 100 = 約60g

4. 溶解度の計算問題の考え方

水の量が変わる問題

水の量が100gでない場合は、次の式で実際に溶ける最大量を求めます。

溶解度 × 水の質量 ÷ 100

例:溶解度が30gで、水が150gの場合

30 × 150 ÷ 100 = 45g

水の質量 計算 溶ける最大量
50g 30 × 50 ÷ 100 15g
150g 30 × 150 ÷ 100 45g
200g 30 × 200 ÷ 100 60g

物質を入れすぎた問題

物質を入れた量が、実際に溶ける最大量を超えている場合、超えた分は溶け残りになります。

例題

ある温度で、水100gに30gまで溶ける物質があります。水200gに70gを入れると、何gが溶け残りますか。

水200gに溶ける最大量は、30 × 2 = 60gです。

70 − 60 = 10gが溶け残ります。

この10gは、最初から溶けきらずに残った物質です。冷やしたことで出てきた結晶や、化学反応で生じた沈殿とは分けて考えます。

水の重さと水溶液の重さを区別する

溶解度の計算で基準になるのは、水の質量です。

たとえば、水100gに食塩20gがすべて溶けている場合、水溶液の質量は120gです。

  • 水の質量:100g
  • 溶けた食塩の質量:20g
  • 水溶液の質量:100+20=120g

問題文に「水溶液の質量」が書かれている場合は、その中に水と溶質がそれぞれ何g含まれているかを確認します。

よくある誤答

誤答 正しい考え方
水溶液100gを、水100gとして計算する 溶解度の基準は水の質量。水溶液全体の質量とは分ける
水が200gでもグラフの値をそのまま使う 水200gなら、グラフの値を2倍する
入れた物質がすべて溶けたと考える その温度で溶ける最大量と比べる
溶解度と実際に溶けた量を同じ意味で使う 溶解度は水100g当たりの上限。実際に溶けた量は加えた量にもよる

グラフの読み取り、比例計算、溶け残りの判断を一人で整理しにくい場合は、ものの溶け方の計算を中学受験理科の個別指導で確認したい方はこちらも参考になります。

5. ミョウバンと食塩の溶け方の違い

溶解度曲線では、物質ごとの曲線の形を比べる問題もよく出ます。特に、ミョウバンと食塩では、温度による溶解度の変化に違いがあります。

物質 温度が上がったとき 冷やしたとき
ミョウバン 溶解度が大きく増える 溶けていた物質が結晶として出やすい
食塩 溶解度の変化が比較的小さい 温度を下げるだけでは、出てくる結晶が比較的少ない

ミョウバンは温度で溶解度が大きく変わる

ミョウバンは、温度が高くなると溶解度が大きく増える物質です。そのため、温かい水に多く溶かした後で冷やすと、溶けていられなくなった分が結晶として出やすくなります。

温度ごとの具体的な溶解度を求める場合は、問題に示されたミョウバンの表や、物質名が明記された溶解度曲線を読み取ります。

食塩は温度による変化が小さい

食塩は、ミョウバンに比べて温度による溶解度の変化が小さい物質です。そのため、温かい食塩水を冷やしても、同じ温度差のミョウバン水溶液ほど多くの結晶は出にくくなります。

このページには食塩の温度別の曲線や具体的な数値を掲載していないため、食塩については温度による変化の特徴を確認します。

グラフの傾きにも注目する

曲線が急に上がっている物質ほど、温度による溶解度の変化が大きくなります。冷やしたときに多くの結晶が出るかを考えるときは、高温と低温で読み取った値の差を確認しましょう。

6. 冷やしたときに出てくる結晶の量

冷やす前と後に溶けていられる量を引く

温かい飽和水溶液を冷やすと、低い温度では溶けていられなくなった分が結晶として出てきます。

掲載グラフを使った計算例

曲線で示された物質を、水100cm³に90℃で約30g溶かし、20℃まで冷やしたとします。

  • 90℃で溶けている量:約30g
  • 20℃で溶けていられる量:約5g

30 − 5 = 約25gの結晶が出てきます。

水の量が100cm³でない場合

高温時と低温時の両方について、水の量に合わせて計算してから差を求めます。

水200cm³の場合

  • 90℃で溶ける量:約30 × 2 = 約60g
  • 20℃で溶ける量:約5 × 2 = 約10g

60 − 10 = 約50gの結晶が出てきます。

高温で本当にすべて溶けていたかを確認する

高温時の溶解度と低温時の溶解度を引けば、いつでも答えになるわけではありません。最初に加えた物質が、高温で実際に何g溶けていたかを確認します。

90℃の水100cm³に、掲載グラフの物質を20gだけ溶かし、20℃まで冷やします。

20℃では約5gまで溶けていられるため、出てくる量は次の通りです。

20 − 5 = 約15g

90℃で最大約30gまで溶ける場合でも、実際に20gしか溶かしていなければ、30gから計算してはいけません。

溶け残り・結晶・沈殿の違い

名称 どのようにできるか
溶け残り 溶ける限界を超えて加えたため、最初から溶けなかった固体 水に食塩を入れすぎて底に残る
結晶 一度溶けていた物質が、冷却や水の蒸発によって出てきた固体 温かいミョウバン水溶液を冷やして出てくる固体
沈殿 水溶液中の化学反応などによって生じた、水に溶けにくい固体 二つの水溶液を混ぜたときに生じる固体

まとめ

ポイント 内容
溶質・溶媒・溶液 溶質は溶ける物質、溶媒は溶かす液体、溶液は両者が均一に混ざった全体。水を溶媒とする溶液が水溶液。
溶解度 ある温度で、水100gに溶ける溶質の最大質量。水溶液100gを基準にする値ではない。
比例計算 実際に溶ける最大量は「溶解度 × 水の質量 ÷ 100」で求める。
飽和水溶液 その温度で、溶質が限界まで溶けている水溶液。
溶け残り 実際に溶ける最大量を超えて加え、最初から溶けなかった物質。
冷やした場合 高温で実際に溶けていた量から、低温で溶けていられる量を引く。差の分が結晶として出てくる。

あわせて確認したい関連記事

ものの溶け方と一緒に、次の内容も確認すると化学計算のつながりが分かりやすくなります。

よくある質問

溶液と水溶液は同じですか?

水溶液は溶液の一種です。溶液のうち、水を溶媒としているものを水溶液と呼びます。

溶解度は水100gと水溶液100gのどちらを基準にしますか?

水100gを基準にします。水溶液100gには水と溶質の両方が含まれるため、同じものとして計算しないように注意します。

溶解度は水の量が増えると大きくなりますか?

同じ物質・同じ温度なら、溶解度自体は変わりません。水の量が増えると、実際に溶ける最大量が水の量に比例して増えます。

飽和水溶液とは何ですか?

その温度で、溶質が限界まで溶けている水溶液です。同じ温度でさらに溶質を加えても、それ以上は溶けません。

底に残った物質はすべて沈殿ですか?

すべてを同じ名称で扱うとは限りません。最初から溶けなかった物質は溶け残り、冷やして出てきた固体は結晶、化学反応によって生じた溶けにくい固体は沈殿と区別します。

冷やしたときに結晶が出てこない場合もありますか?

あります。冷やした後の温度で溶ける最大量を、実際に溶けている量が超えていなければ、結晶は出てきません。

ミョウバンは何度で何g溶けますか?

ミョウバンの溶解度は温度によって変わります。具体的な値を求めるときは、物質名が明記された溶解度曲線や表を確認します。このページの掲載画像には物質名が記されていないため、画像の数値をミョウバンの値として断定していません。

食塩は冷やしても結晶が出にくいのはなぜですか?

食塩は、ミョウバンに比べて温度による溶解度の変化が小さいためです。高温と低温で溶ける量の差が小さく、冷やしたときに出てくる結晶も比較的少なくなります。

ものの溶け方・溶解度クイズ

代表的な6問で、学んだ内容を確認しましょう。

第1問:食塩水の中で、食塩を溶かしている水を何と呼びますか?

  1. 溶質
  2. 溶媒
  3. 溶液
  4. 結晶
正解を見る

正解:B. 溶媒
水は食塩を溶かす側なので、溶媒です。

第2問:ミョウバン水溶液の溶質はどれですか?

  1. ミョウバン
  2. ミョウバン水溶液全体
  3. ビーカー
正解を見る

正解:B. ミョウバン
水に溶けている物質が溶質です。

第3問:同じ物質・同じ温度で、水を100gから200gに増やしました。正しい説明はどれですか?

  1. 溶解度が2倍になる
  2. 溶解度が半分になる
  3. 溶解度は同じで、溶ける最大量が2倍になる
  4. 溶ける最大量は変わらない
正解を見る

正解:C
溶解度は水100gを基準にした値なので変わりません。実際に溶ける最大量が2倍になります。

第4問:飽和水溶液とは、どのような水溶液ですか?

  1. 溶質がまったく入っていない水溶液
  2. その温度で溶質が限界まで溶けている水溶液
  3. 必ず色が付いている水溶液
  4. 水がすべて蒸発した状態
正解を見る

正解:B
同じ温度では、それ以上溶質を加えても溶けない状態です。

第5問:溶解度が30gの物質は、水200gに最大何g溶けますか?

  1. 15g
  2. 30g
  3. 60g
  4. 90g
正解を見る

正解:C. 60g
30 × 200 ÷ 100 = 60gです。

第6問:掲載グラフの物質が、水100cm³に90℃で約30g溶けています。20℃まで冷やしたとき、約5gが溶けたまま残る場合、約何gの結晶が出ますか?

  1. 約5g
  2. 約15g
  3. 約25g
  4. 約35g
正解を見る

正解:C. 約25g
30 − 5 = 約25gです。

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