【理科のコツ】呼吸と肺のしくみ

中学理科/生物分野
テーマ:呼吸と肺のしくみ

呼吸と肺のしくみ──「酸素を吸って二酸化炭素を出す」だけではない本当の目的

「呼吸=酸素を吸って二酸化炭素を出す」と覚えていませんか?
このページでは、動画に沿って呼吸の本当の目的(エネルギーを作り出すこと)と、
肺や肺胞で行われるガス交換の仕組みを、中学入試レベルに整理して解説します。

動画で学ぶ:呼吸と肺のしくみ

まずは動画で全体の流れをつかんでから、本文の解説・まとめ・クイズで知識を定着させていきましょう。

1. 呼吸とは何か?──「ガス交換」と「エネルギーづくり」を分けて考える

多くの人が、
「酸素を吸って二酸化炭素を出すこと」を呼吸だと覚えていますが、
これは不十分な覚え方です。

「酸素を吸って二酸化炭素を出す」というのは、あくまで結果として起きているガス交換にすぎません。

正確には、呼吸には次の2つの側面があります。

① 外呼吸(がいこきゅう)

  • 肺で行われるガス交換のこと
  • 空気中の酸素を血液に取り込み、血液中の二酸化炭素を外に出す
  • いわゆる「スーハー」と息をしている部分

② 内呼吸(ないこきゅう)

  • 細胞の中で行われる化学反応
  • 酸素 + グルコース(ブドウ糖)から、エネルギー + 二酸化炭素 + 水をつくる
  • ここで作られたエネルギーによって、体は動き、成長し、生きていられる

大事なのは、呼吸の真の目的は「エネルギーを取り出すこと」だという点です。
二酸化炭素はその副産物なので「ゴミ」として捨てている、というイメージで押さえましょう。

2. 光合成と呼吸の関係──ほぼ「逆向き」の反応

植物が行う光合成は、呼吸とほぼ逆向きの反応になっています。

反応 式(イメージ) ポイント
呼吸 酸素 + グルコース(栄養分)
→ エネルギー + 二酸化炭素 + 水
  • 人間や動物・植物の細胞の中で行われる
  • エネルギーを取り出すことが目的
  • 二酸化炭素と水は副産物として捨てられる
光合成 二酸化炭素 + 水
→ グルコース + 酸素
  • 植物の葉にある葉緑体で行われる
  • 栄養分(グルコース)をつくることが目的
  • 酸素は植物には不要な分が多く、外に捨てられる

つまり、呼吸=エネルギーを使う側光合成=エネルギーをためる側と整理しておくと、
入試の問題でも混乱しにくくなります。

3. 肺と肺胞の構造──「ブドウの房」で表面積をアップ

続いて、肺の中でガス交換が行われる仕組みを見ていきます。

呼吸とエネルギー産生の関係を示す図

図のように、私たちは呼吸によって酸素を取り込み、その酸素を使って
活動のためのエネルギーを作り出しています。

  • 酸素を取り入れる → 血液中へ運ばれる
  • 細胞でエネルギーを作る → 二酸化炭素が発生
  • 二酸化炭素を血液が運び、肺で「ゴミ」として捨てる

肺胞と毛細血管の構造図

肺の中の道順

空気は次の順番で肺の奥へと入っていきます。

  • 鼻・口
  • 気管
  • 左右の気管支
  • さらに細かく分かれた気管支の先にある肺胞(はいほう)

肺胞は、図のようにブドウの房(巨峰)のような形をしており、
その表面には毛細血管がびっしりとくっついています。

なぜ肺胞はブドウの房のような形なのか?

  1. たまたま
  2. デザイン性
  3. 表面積を広げて、効率よく酸素と二酸化炭素を取り替えるため

正解はもちろん
肺胞を広げると、表面積はテニスコート1面分にもなると言われています。

4. 肺胞でのガス交換と血液の流れ

肺胞のまわりには毛細血管が網の目のようにとりまいていて、ここでガス交換が行われます。

流れてくる血液 肺胞での変化 出ていく血液
  • 二酸化炭素を多く含む血液
  • 酸素は少なめ
  • 肺胞の中の酸素が血液の中に入る
  • 血液の中の二酸化炭素が肺胞の中へ出ていく
  • このガス交換が瞬時に連続して行われる
  • 酸素を多く含む血液
  • 二酸化炭素は少なめ
  • 全身へ運ばれ、細胞での内呼吸に利用される

このようにして取り込まれた酸素と、食事から得たブドウ糖(グルコース)を使って、
私たちの体はエネルギーを作り出し、動く・話す・考えるといった活動を続けています。

5. 呼吸と肺の仕組みのまとめ表

ここまでの内容を、入試対策用に一枚で見通せる表にまとめました。

項目 内容
呼吸の目的
  • 酸素を使ってエネルギーを作り出す化学反応
  • 副産物として二酸化炭素を排出する
外呼吸と内呼吸
  • 外呼吸:肺でのガス交換(空気と血液の間)
  • 内呼吸:細胞内でのエネルギー生成
    (酸素 + グルコース → エネルギー + 二酸化炭素 + 水)
肺胞の構造と役割
  • 肺胞は小さな袋状で、たくさん集まって表面積を大きくしている
  • 肺胞の表面に毛細血管が密着し、酸素と二酸化炭素を交換する
呼吸の流れ
  • 空気:鼻・口 → 気管 → 肺 → 肺胞
  • 肺胞で酸素を血液に取り込み、血液中の二酸化炭素を肺胞へ出す
光合成との関係
  • 光合成は呼吸とほぼ逆の反応
    (CO₂ + H₂O → グルコース + O₂)
  • 呼吸:エネルギーを取り出す/光合成:エネルギーをためる

6. 確認クイズ(10問)で理解をチェック!

ここまで学んだ内容を、10問のクイズで確認してみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンを押すと答えが表示され、ボタンは消えます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 呼吸の主な目的は何ですか? A. 酸素を吸うこと
B. 二酸化炭素を出すこと
C. エネルギーを作ること
D. 肺を動かすこと

2. 肺胞が小さな袋状になっている主な理由は? A. デザイン性
B. 表面積を広げるため
C. ガス交換を防ぐため
D. 空気を貯めるため

3. 呼吸で排出される主な副産物は何ですか? A. 酸素
B. 水
C. 二酸化炭素
D. エネルギー

4. 肺胞に密着しているものはどれですか? A. 動脈
B. 静脈
C. 毛細血管
D. 気管

5. 内呼吸はどこで行われますか? A. 肺
B. 細胞
C. 血液
D. 気管

6. 呼吸の副産物として水が排出される場所として適切なのは? A. 肺
B. 血液
C. 細胞
D. 胃

7. 光合成と呼吸の関係で正しいのはどれですか? A. 呼吸は光合成の逆反応
B. 光合成は酸素を消費する
C. 呼吸は二酸化炭素を生成しない
D. 光合成はエネルギーを消費する

8. 呼吸でエネルギーを作り出すために必要な物質の組み合わせはどれですか? A. 酸素とグルコース
B. 酸素と二酸化炭素
C. 水と酸素
D. グルコースと二酸化炭素

9. ガス交換が直接行われる場所はどこですか? A. 気管
B. 肺胞
C. 血管
D. 心臓

10. 肺胞の表面積はどの程度といわれていますか? A. サッカー場1面
B. テニスコート1面
C. バスケットコート1面
D. 野球場1面

7. まとめ──「目的はエネルギーづくり」と意識しよう

  • 呼吸の真の目的は「エネルギーを作り出すこと」であり、ガス交換はそのための手段。
  • 外呼吸(肺でのガス交換)と内呼吸(細胞内の化学反応)を区別して覚える。
  • 肺胞はブドウの房のような形で表面積を広げ、効率よくガス交換を行っている。
  • 光合成は呼吸とほぼ逆の反応であり、エネルギーをためる側の働きと整理できる。
  • 呼吸の仕組みは、このあと学ぶ血液の循環とセットで頻出。今のうちに土台を固めておくと有利。

「酸素を吸って二酸化炭素を出す」という暗記にとどまらず、エネルギーの流れとして呼吸をとらえることで、
理科全体の理解が一段深くなります。

呼吸・循環・血液まで一気に仕上げたい人へ

「呼吸の仕組みはなんとなく分かったけれど、血液の流れや心臓のはたらきになると不安…」という人は、
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