扇状地と三角州の違い 川がつくる地形4つ【理科のコツ】

小5〜中1 地学/川の地形
本文のみ:約15〜20分

扇状地と三角州の違いは?川がつくる4つの地形を中学受験理科で解説

扇状地と三角州は、どちらも川が運んだ土砂の堆積によってできる地形です。ただし、できる場所や積もる土砂、土地の傾きなどが異なります。扇状地は山から平地へ出るところ、三角州は川が海や湖へ流れこむ河口付近にできます。

このページでは、扇状地と三角州の違いを比較したうえで、それぞれのでき方、土砂の特徴、水はけ、土地利用、写真や地形図での見分け方を解説します。川の上流・中流・下流の違いや、V字谷・三日月湖についても確認しましょう。

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扇状地と三角州の違い

扇状地と三角州を見分けるときは、形だけでなく、川のどの場所にできているかを最初に確認します。山地と平地の境目にあれば扇状地、海や湖に接する河口付近にあれば三角州です。

最初に覚えたい4つの違い

扇状地
場所
山地を流れてきた川が平地へ出るところ
土地の傾き
山側から平地側へ、ゆるやかに傾く
土砂
比較的大きなれきや砂が多い
土地利用
地域によっては、果樹園や住宅地として利用される
三角州
場所
川が海や湖へ流れこむ河口付近
土地の傾き
低く、ほぼ平らな土地が広がる
土砂
細かい砂や泥が多い
土地利用
地域によっては、水田や市街地として利用される

でき方や地図上の特徴を詳しく比較

表は横方向にスクロールできます。左端の比較項目を確認しながら読み進めてください。

扇状地と三角州のでき方、水はけ、川の見え方、写真や地形図での特徴、代表例の比較
比較する項目 扇状地 三角州
でき方 川が山地から平地へ出て流れが弱まり、運んできた土砂が扇のように広がって積もる 川が海や湖に入って流れが弱まり、河口付近に土砂が積もる
水はけ れきや砂のすき間から水がしみこみやすく、水はけがよい場所が多い 細かい土砂が多く、低地で水を得やすい一方、水がたまりやすい場所もある
川と土地の見え方 山の出口を中心に土地が広がる。土砂が積もる過程で、川が流れる場所を変えることがある 河口付近で川が複数の流れに分かれることがある
写真の手がかり 背後に山地があり、その出口から土地が広がっている 海や湖に近く、低く平らな土地が広がっている
地形図の手がかり 山地の谷が平地へ開く場所にあり、山側から平地側へ標高が低くなる 河口付近の標高が低い土地に、複数の河川や水路が見られることがある
日本の代表例 甲府盆地周辺など 広島市の太田川三角州など

この記事で確認できる内容

川がつくる地形を学習するイメージ
  • 扇状地と三角州を、場所、土砂、傾きから見分ける方法
  • 扇状地の水はけと果樹園などの土地利用との関係
  • 三角州の低く平らな土地と水田・市街地との関係
  • 写真や地形図で確認したい山地、河口、標高、川の枝分かれ
  • 川の上流・中流・下流で変わる流れ方、川幅、石の様子
  • V字谷と三日月湖のでき方

動画で川の地形の全体像を確認する

次の動画は、川の地形を理解するための補助教材です。動画を再生しない場合は、本文と表から主要な学習事項を確認できます。

扇状地とは

扇状地は、山地を流れてきた川が平地へ出る場所に、土砂が扇のように広がってできる地形です。扇を開いたような形に見えることから、扇状地と呼ばれます。

扇状地ができる場所とでき方

山地では土地の傾きが急なため、川は比較的速く流れ、れきや砂などを運びます。川が山地から平地へ出ると、土地の傾きが急に小さくなり、流れも弱くなります。

流れが弱くなると、それまで運ばれていた土砂を運び続ける力が小さくなります。そのため、比較的大きなれきや砂が山の出口付近から積もり、土地が平地側へ向かって扇のように広がります。

土砂が川の流路に積もると、川がそれまでとは別の場所を流れることがあります。このような流路の変化を繰り返しながら土砂が広い範囲に積もり、扇形の土地がつくられていきます。

扇状地の土砂、水はけ、土地の傾き

土砂

比較的大きなれきや砂が多く、三角州に積もる土砂より粒が大きい傾向があります。

水はけ

れきや砂のすき間から水が地中へしみこみやすく、水はけがよい場所が多くなります。

土地の傾き

山側が高く、平地側へ向かってゆるやかに低くなる傾斜があります。

扇状地は、山側から順に扇頂扇央扇端と分けることがあります。

表は横方向にスクロールできます。

扇頂、扇央、扇端の位置と水との関係
場所 位置 水との関係
扇頂 山地から平地へ出る扇状地の頂点付近 川が山地から出てくる場所に近い
扇央 扇状地の中央付近 水が地中へしみこみやすく、地表の水を得にくい場所がある
扇端 扇状地の平地側の端 地中を流れてきた水が湧き出す場所が見られることがある

扇頂・扇央・扇端の水の得やすさや土地利用は、地域の地質、川の状態、水道や用水路の整備などによって異なります。

扇状地の土地利用と日本の代表例

扇状地では、れきや砂が多く、水が地中へしみこみやすいため、水はけのよさを生かして果樹園に利用される地域があります。果樹は水がたまり続ける土地を苦手とするものがあるため、傾斜と水はけのよい土地が利用されることがあります。

一方で、すべての扇状地が果樹園になるわけではありません。水道や道路が整備された地域では、住宅地や市街地として利用されることもあります。

日本の例としては、甲府盆地周辺の扇状地が挙げられます。地図や写真では、盆地を囲む山地の谷から平地へ向かって土地が広がっているかを確認しましょう。

三角州とは

三角州は、川が海や湖へ流れこむ河口付近に土砂が積もってできる、低く平らな地形です。上空や地図から見ると三角形に近い形になる場合があることから、三角州と呼ばれます。

三角州ができる場所とでき方

川の水が海や湖へ流れこむと、水の流れが広がり、川の中を流れていたときより速さが弱まります。流れが弱くなると、川が運んできた土砂を運び続けにくくなり、河口付近に土砂が積もります。

河口まで運ばれる土砂は、扇状地に積もるものより細かい砂や泥が中心です。土砂が運ばれる間に削られることに加え、大きな石ほど流れが弱い場所まで運ばれにくいことも関係しています。

三角州の土砂、川の枝分かれ、低地の特徴

土砂

河口まで運ばれた細かい砂や泥が多く積もります。

川の枝分かれ

積もった土砂によって流れが分かれ、複数の川や水路が見られることがあります。

土地の高さ

海や湖に近い低地で、傾きの小さい平らな土地が広がります。

川が運んできた土砂が河口に積もると、川底や土地が少しずつ高くなります。水は流れやすい場所を選んで進むため、河口付近で川が複数に分かれることがあります。

三角州は水を得やすい一方で、土地が低いため、大雨による洪水、海からの高潮、排水しきれない水がたまる浸水などに注意が必要な地域もあります。

三角州の土地利用と日本の代表例

三角州は低く平らで、川や水路から水を得やすいため、水田として利用される地域があります。また、低く平らな土地を利用して、市街地が発達している地域もあります。

市街地が発達する理由は、三角州の地形だけでは決まりません。港湾や河川交通、埋め立て、道路などの整備、歴史的な都市形成といった複数の要因が地域ごとに関係しています。

三角州が必ず水田や市街地になるわけではありません。土地利用は、川の流れ、排水設備、堤防などの治水工事、地域の産業によって変わります。

日本の例としては、広島市の太田川三角州が挙げられます。地図では、河口付近に低く平らな土地があり、川が複数に分かれている様子に注目しましょう。

写真や地形図で扇状地と三角州を見分けるポイント

写真や地形図の問題では、扇の形や三角形だけを探すと判断を誤ることがあります。次の4点を順番に確認し、複数の手がかりを組み合わせましょう。

川の地形を写真や地図から確認するためのイメージ
  1. 位置:山地の近くか、海や湖に近い河口かを見る。
  2. 土地の広がり:山の谷が平地へ開いているか、河口に低地が広がっているかを見る。
  3. 標高:山側から平地側へどのように低くなるかを確認する。
  4. 川の形:山の出口付近で土地が広がっているか、河口で川が枝分かれしているかを見る。

山地と平地の境目を見る

山の谷を流れてきた川が、開けた平地へ出ている場合は扇状地を考えます。山の出口を中心に土地が広がっているかを確認しましょう。

海や湖との位置関係を見る

川が海や湖へ流れこむ河口付近に、低く平らな土地が広がっている場合は三角州を考えます。

土地の広がりと川の枝分かれを見る

山の出口を中心に土地が広がっていれば扇状地、河口付近で川が複数に分かれていれば三角州の手がかりになります。

標高と等高線を組み合わせて見る

扇状地では山側から平地側へ標高が低くなり、三角州では河口付近に低い土地が広がります。等高線の間隔だけで決めず、位置や川の形も一緒に確認します。

表は横方向にスクロールできます。

写真や地形図で扇状地と三角州を見分ける手がかり
確認するもの 扇状地の手がかり 三角州の手がかり
周囲の地形 背後や近くに山地がある 海や湖に接する河口付近にある
土地の形 山の谷が平地へ開き、山の出口から土地が広がる 河口に低く平らな土地が広がる
川の様子 現在の川筋だけでなく、山の出口を中心とした土地全体の広がりを見る 河口付近で複数に枝分かれすることがある
標高と等高線 山側から平地側へ標高が低くなる。等高線は補助的な手がかりとして使う 標高の低い土地が広がり、等高線が少ない場合がある

川の上流・中流・下流の違い

扇状地や三角州のでき方を理解するには、川が上流から下流へ流れる間に、傾き、流れの速さ、川幅、運ばれる土砂がどのように変わるかを確認することが大切です。

場所ごとの基本的な特徴

  • 上流:川の傾きが急で流れが速い。川幅は狭く、大きく角ばった石が多い。
  • 中流:上流より傾きがゆるやかになり、川幅が広がる。石は運ばれる間に丸みを帯びてくる。
  • 下流:傾きが小さく流れがゆるやかで、川幅が広い。小石、砂、泥などの細かい粒が多くなる。
川の上流・中流・下流の違いを示した図

上流から下流へ進むにつれて、一般に川幅が広がり、川底に見られる土砂は細かくなります。

表は横方向にスクロールできます。

川の上流、中流、下流の傾き、流れ、川幅、土砂、地形の比較
場所 土地の傾き 流れ 川幅 石や土砂 関係する地形
上流 速い 狭い 大きく角ばった石が多い V字谷
中流 上流よりゆるやか 上流よりゆるやか 広くなってくる 石が小さくなり、丸みを帯びてくる 蛇行が見られるようになる
下流 小さい ゆるやか 広い 小石、砂、泥などが多い 三角州・三日月湖

下流ほど細かい土砂が多くなる理由

川の石は、運ばれる途中で石同士や川底にぶつかり、少しずつ削られて小さく丸くなります。ただし、下流に細かい土砂が多くなる理由は、それだけではありません。

流れには、運べる粒の大きさに違いがあります。流れが強い場所では大きな石も動かせますが、流れが弱くなると大きな石から先に運ばれにくくなり、砂や泥などの細かい粒がより下流まで運ばれます。このように、流れの強さによって土砂が分かれて積もることも重要です。

V字谷と三日月湖

川がつくる代表的な地形には、扇状地と三角州のほかに、上流にできるV字谷と、蛇行する川の近くにできる三日月湖があります。

表は横方向にスクロールできます。

V字谷と三日月湖のできる場所、でき方、判別ポイント
地形 できる場所 でき方 判別ポイント
V字谷 山間部の上流 流れの速い川が川底を深く侵食し、断面がV字形に近い谷をつくる 急な斜面、狭く深い谷、山地
三日月湖 蛇行する川の近く 大きく曲がっていた川の流路が変わり、以前の流路の一部が取り残されて湖になる 蛇行する川の近くにある、三日月形や弓形の水域

扇状地と三角州のよくある質問

扇状地には、なぜ大きなれきが多いのですか。

山地を流れてきた川が平地へ出ると、傾きが小さくなって流れが弱まります。すると、大きく重いれきから運ばれにくくなり、山の出口付近に積もります。

三角州には、なぜ細かい砂や泥が積もるのですか。

大きな石は上流や山の出口付近で運ばれにくくなり、細かい砂や泥ほど河口まで運ばれやすいためです。河口で流れが弱まると、それらが積もります。

扇状地で果樹園が見られるのはなぜですか。

れきや砂が多く、水が地中へしみこみやすいため、水はけのよさを生かして果樹栽培に利用される地域があります。ただし、すべての扇状地が果樹園になるわけではありません。

三角州で水田や市街地が見られるのはなぜですか。

低く平らで水を得やすいため、水田として利用される地域があります。市街地の発達には、平らな土地に加えて、港湾、交通、埋め立て、歴史的な都市形成など、地域ごとのさまざまな条件が関係します。

三角州の川が枝分かれすることがあるのはなぜですか。

河口に土砂が積もると、川の水が流れやすい場所を選んで進むため、流れが複数に分かれることがあります。

地形図で扇状地と三角州を見分けるには、どこを見ますか。

扇状地では、山地の谷が平地へ開く場所、山から平地へ低くなる様子、土地の広がりを見ます。三角州では、海や湖に近い河口、標高の低い土地、川の枝分かれを確認します。等高線だけで判断しないことが大切です。

扇状地と三角州では、どのような災害に注意が必要ですか。

扇状地では、大雨によって土砂や石が流れてくる可能性があります。三角州では、洪水、高潮、浸水などに注意が必要です。実際の危険性は地域ごとに異なるため、地域のハザードマップなどで確認します。

理解度を確かめる問題

場所、土砂、土地利用、地形図の特徴を結びつけて答えられるか確認してみましょう。

問題1.扇状地ができる場所はどこですか。

  1. 山地から平地へ出るところ
  2. 川が海へ流れこむところ
  3. 海岸から離れた海底
  4. 蛇行する川の古い流路
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正解はAです。扇状地は、山地を流れてきた川が平地へ出る場所にできます。

問題2.扇状地に積もりやすい土砂はどれですか。

  1. 細かい泥だけ
  2. 比較的大きなれきや砂
  3. 海水に含まれる塩
  4. 火山灰だけ
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正解はBです。川が山地から平地へ出て流れが弱まると、比較的大きなれきや砂が積もります。

問題3.三角州に細かい砂や泥が多い理由として適切なものはどれですか。

  1. 大きな石だけが河口まで運ばれるから
  2. 河口で川の流れが速くなるから
  3. 細かい粒が河口まで運ばれ、流れが弱まった場所に積もるから
  4. 海の水が石を大きくするから
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正解はCです。細かい砂や泥は河口まで運ばれやすく、川が海や湖に入って流れが弱まると積もります。

問題4.地図で山地の谷が平地へ開き、土地が扇のように広がっています。この地形はどれですか。

  1. V字谷
  2. 扇状地
  3. 三角州
  4. 三日月湖
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正解はBです。山地と平地の境目にあり、山の出口から土地が広がっていることが扇状地の手がかりです。

問題5.扇状地で果樹園が見られる理由として適切なものはどれですか。

  1. 低く平らで水がたまりやすいから
  2. れきや砂が多く、水はけがよい場所があるから
  3. 海水を得やすいから
  4. 川の流れがまったくないから
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正解はBです。扇状地では水が地中へしみこみやすく、水はけのよさを生かして果樹園に利用される地域があります。

問題6.下流ほど細かい土砂が多くなる理由として適切なものはどれですか。

  1. 石が削られることと、流れの強さによって運べる粒が分かれることが関係する
  2. 下流で石が急に大きくなる
  3. 上流には土砂がまったくない
  4. すべての石が同じ場所まで運ばれる
正解を見る

正解はAです。石がぶつかって削られることに加え、大きな石ほど流れが弱い場所まで運ばれにくいことも関係します。

入試問題での考え方

  1. 地形が川のどの位置にあるかを確認する。
  2. 川の傾きと流れの強さを考える。
  3. その場所まで運ばれる土砂の大きさを考える。
  4. 写真や地形図では、周囲の山地、河口、標高、土地の広がり、川の形を組み合わせる。
  5. 土地利用は、水はけや土地の高さと結びつけて説明する。

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