蒸散とは?気孔・蒸発との違い・実験の読み取り【理科のコツ】
蒸散・気孔・実験比較
蒸散とは?気孔・蒸発との違い・実験の読み取り【理科のコツ】
蒸散とは、植物の体内にある水分が、主に葉の気孔から水蒸気として出ていく現象です。このページでは、蒸散とは何か、蒸発との違い、ワセリンや袋を使った実験の読み方を、図や表とともに確認します。
- 蒸散は、植物の水分が主に葉の気孔から水蒸気として出る現象
- 蒸発は、植物に限らず水面やぬれた表面から水が気体になる現象
- 実験問題では、結果を見る前にどの条件を変えたのかを確認する
動画で学ぶ:蒸散のしくみ
動画で全体像をつかんでから、本文の比較表と実験の見方を確認すると、用語問題と実験問題の内容を結びつけやすくなります。
1. 蒸散・蒸発・気孔の違い
| 用語 | 意味 | どこで起こるか | 押さえるポイント |
|---|---|---|---|
| 蒸散 | 植物の体内の水分が水蒸気として外へ出る現象 | 主に葉の気孔 | 植物のはたらきとして問われる |
| 蒸発 | 水が液体から気体に変わる現象 | 水面やぬれた表面など | 植物に限らず起こる |
| 気孔 | 葉などの表面にある小さな穴 | 一般的な陸上植物では葉の裏側に多い | 水蒸気や気体の出入りに関わる |
蒸散は植物の体内から水蒸気が出る現象、蒸発は水が液体から気体へ変わる現象です。似た言葉ですが、「植物のはたらきなのか」「水の状態変化なのか」を分けて考えると区別しやすくなります。
2. 蒸散とは何か──植物の水分が気孔から出ていく

蒸散とは、植物が体内の水分を水蒸気として空気中へ出す現象です。中学受験では、言葉の意味だけでなく、どこから水蒸気が出るのか、どのような条件で量が変わるのかも問われます。
- 根から吸収された水の一部が、茎を通って葉まで運ばれる
- 運ばれた水の一部が、主に葉の気孔から水蒸気として出ていく
- 蒸散は植物体の水の移動に関わり、植物体の温度上昇を抑えることにもつながる
気孔とは
気孔は、葉などの表面にある小さな穴です。一般的な陸上植物では、葉の表側よりも裏側に多く見られるため、蒸散実験では葉の表と裏の違いがよく問われます。
- 開いたり閉じたりして、水蒸気の出入りを調節する
- 二酸化炭素や酸素の出入りにも関わる
- ワセリンを塗る実験では、気孔をふさいだと考える
根・茎・葉の基本を復習したい場合
蒸散のしくみを理解するには、根から吸収された水が茎を通って葉へ運ばれる流れを押さえておくことが大切です。根・茎・葉のつくりや、単子葉類・双子葉類の違いも整理したい場合は、植物分類の記事をあわせて確認してみましょう。
3. 蒸散実験は「どの条件を変えたか」を読む
蒸散の実験では、植物に異なる条件を加え、一定時間後の水の減り方を比べます。結果の数字を先に見るのではなく、比較する装置のどこが同じで、どこだけが違うのかを確認することが大切です。
- 葉の枚数や面積は同じか
- ワセリンをどこに塗っているか
- 袋やふたを使っているか
- それ以外の条件がそろっているか
| 変える条件 | 具体例 | 何を調べるか | 読み取りのポイント |
|---|---|---|---|
| 葉の枚数や面積 | 葉を半分にする/全部取る | 葉の面積と蒸散量の関係 | 葉が少ないほど、気孔の合計も少なくなる |
| ワセリンを塗る面 | 表側だけ/裏側だけ/両面 | 気孔をふさいだときの変化 | 葉の裏側をふさいだときの影響が大きくなりやすい |
| 袋の有無 | 植物全体を袋で覆う | 周囲の湿度の影響 | 袋の中の湿度が高くなると蒸散しにくくなる |
| 容器のふた | 水面を油で覆う/容器にふたをする | 水面からの蒸発を防ぐ | 水の減少を植物の蒸散によるものとして調べやすくする |
次の比較問題につなげるポイント
ここで見た「条件をそろえて比べる」考え方は、あとで出てくる水の減少量の読み取りでも使います。表の数字を見る前に、どの条件だけが違うのかを言葉で整理しておきましょう。
4. 蒸散量が増える条件・減る条件
蒸散量は、周囲の気温や湿度、風、光などによって変化します。入試問題では、条件を見て「蒸散が増えるか、減るか」を判断させることがあります。
蒸散量が増えやすい条件
- 気温が高い:水が水蒸気になりやすい
- 湿度が低い:葉の内外の水蒸気量の差が大きくなる
- 風が強い:葉の周りにたまった湿った空気が入れ替わる
- 光が当たる:多くの植物では気孔が開きやすくなる
蒸散量が減りやすい条件
- 気温が低い:水が水蒸気になりにくい
- 湿度が高い:葉の周りに水蒸気が多い
- 風が弱い:葉の周りの湿った空気が入れ替わりにくい
- 暗い:多くの植物では気孔が閉じやすくなる
5. 比較問題・計算問題は「条件」と「水の減少量」を結ぶ

実験後の水の量が表やグラフで示され、「どの条件で蒸散量が多かったか」を答える問題があります。数字の大小だけでなく、なぜその結果になったのかまで説明できるようにしましょう。
問題を解くときの流れ
- 装置ごとの条件を書き出す
葉の枚数、ワセリンを塗った場所、袋やふたの有無を確認します。 - 比べられる装置を選ぶ
調べたい条件以外が同じになっている装置を探します。 - 水の減少量を比べる
どの装置で最も減ったか、どの装置ではあまり減らなかったかを見ます。 - 条件と結果を言葉で結ぶ
「葉が少ないため」「葉の裏の気孔をふさいだため」など、理由を説明します。
| よくある結果 | 考え方 |
|---|---|
| 葉を全部取った装置では、水があまり減らなかった | 蒸散が主に葉で行われるため |
| 葉の裏にワセリンを塗った装置では、減少量が小さかった | 気孔が多い側をふさぎ、水蒸気が出にくくなったため |
| 袋をかけた装置では、時間がたつと減少量が小さくなった | 袋の中の湿度が高くなり、蒸散しにくくなったため |
水の減少量を使った計算例
例えば、水面からの蒸発を防ぎ、植物の種類や大きさ、測定時間などをそろえた次の装置を考えます。
- 装置A:葉にワセリンを塗らない。水の減少量は8mL
- 装置B:葉の裏側にワセリンを塗る。水の減少量は3mL
この場合、水の減少量の差は8-3=5mLです。
装置Bでは葉の裏側から水蒸気が出にくくなっているため、この5mLの差は、葉の裏側をふさいだことによる蒸散量の減少を表しています。実際の問題では、ワセリンを塗った部分以外の条件がそろっているかを確認してから計算しましょう。
間違えやすい見方
- 水面からの蒸発を防いでいない装置では、水の減少をそのまま蒸散量と考えない
- ワセリンを塗った面は、気孔をふさいだ条件として読む
- 調べたい条件以外がそろっていない装置同士は、単純に比べにくい
- 水の減少量の差が、どの部分から出た水を表しているのかを確認する
計算が必要な問題でも、最初に条件の違いを整理します。数字だけを追うのではなく、どの部分から出た水を求めているのかを確認することが大切です。
蒸散の実験問題で、装置の比較に迷う場合
蒸散の意味は覚えていても、「どの装置同士を比べるのか」「水の減少量の差を何と考えるのか」で迷うことがあります。その場合は、用語を覚え直すだけでなく、実験条件の整理や答案の説明の仕方を確認することも大切です。
自分で復習しても考え方が整理しにくい場合は、中学受験理科の講座案内ページで、学習について相談する際の情報を確認できます。
6. 蒸散の要点まとめ表
用語問題、実験問題、比較問題で使う内容をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蒸散とは |
|
| 蒸発との違い |
|
| 気孔の役割 |
|
| 実験で見る条件 |
|
| 蒸散量が増えやすい条件 |
|
7. 確認クイズ(10問)で理解をチェック
10問で要点を確認できます。答えを考えてから、各問題の「正解と解説を見る」を開いてください。間違えた内容を覚えておくと、クイズ後に復習する内容を選びやすくなります。
問題1. 蒸散は植物のどの部分から主に行われますか?
- 根
- 葉の気孔
- 花びら
- 種子
正解と解説を見る
正解:B. 葉の気孔 植物の体内の水分は、主に葉にある気孔から水蒸気として出ていきます。
問題2. 蒸散によって植物の体外へ出るものは何ですか?
- 水蒸気
- 液体の水だけ
- 養分
- 土
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正解:A. 水蒸気 植物の体内の水分が、水蒸気となって気孔から外へ出る現象が蒸散です。
問題3. 気孔が関わるはたらきとして正しいものはどれですか?
- 水蒸気や気体の出入り
- 根からの水の吸収だけ
- 種子の発芽だけ
- 花粉の運搬だけ
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正解:A. 水蒸気や気体の出入り 気孔は水蒸気だけでなく、二酸化炭素や酸素の出入りにも関わります。
問題4. 蒸散を抑えやすい方法として適切なのはどれですか?
- 葉に強い風を当てる
- 葉の両面にワセリンを塗る
- 気温を上げる
- 周囲の湿度を下げる
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正解:B. 葉の両面にワセリンを塗る ワセリンで気孔をふさぐと、水蒸気が外へ出にくくなります。
問題5. 一般的な陸上植物で、気孔が多く見られる場所はどこですか?
- 葉の表側
- 葉の裏側
- 根の先端
- 種子の内部
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正解:B. 葉の裏側 一般的な陸上植物では、葉の表側よりも裏側に気孔が多く見られます。
問題6. 蒸散量が増えやすい条件はどれですか?
- 湿度が高い
- 気温が高い
- 風が弱い
- 暗い
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正解:B. 気温が高い 一般に、気温が高いと水が水蒸気になりやすくなり、蒸散量が増えやすくなります。
問題7. 葉をすべて取ると蒸散量が小さくなる主な理由は何ですか?
- 根が水を吸わなくなるから
- 気孔のある部分が大きく減るから
- 茎が太くなるから
- 土の量が増えるから
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正解:B. 気孔のある部分が大きく減るから 蒸散は主に葉の気孔から行われるため、葉を取ると蒸散量が小さくなります。
問題8. 植物に袋をかける実験で主に確かめる条件はどれですか?
- 周囲の湿度
- 根の長さ
- 肥料の量
- 土の種類
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正解:A. 周囲の湿度 袋の中に水蒸気がたまると湿度が高くなり、蒸散が起こりにくくなります。
問題9. 蒸散と蒸発の違いとして正しいものはどれですか?
- どちらも植物だけで起こる
- 蒸散は植物の体内から水蒸気が出る現象で、蒸発は水が気体になる一般的な現象
- 蒸散は気体が液体になる現象
- 蒸発は葉の裏側だけで起こる
正解と解説を見る
正解:B. 蒸散は植物の体内から水蒸気が出る現象で、蒸発は水が気体になる一般的な現象
問題10. 比較実験で最初に確認するとよいことは何ですか?
- 数字の大きさだけを見る
- 装置ごとの条件の違いを書き出す
- すぐに計算を始める
- 最も長い選択肢を選ぶ
正解と解説を見る
正解:B. 装置ごとの条件の違いを書き出す 比較する条件以外が同じかを確認してから、結果の数字を比べます。
8. クイズ後に次の内容を選ぶ
確認クイズで迷った内容を振り返り、必要なところから復習しましょう。蒸散の基本を確認する場合と、実験問題の解き方を整理する場合では、次に学ぶ内容が異なります。
まずはこの記事で復習したい場合
蒸散の意味や蒸発との違いで迷った場合は「1. 蒸散・蒸発・気孔の違い」を、気孔の役割は「2. 蒸散とは何か」を、気温・湿度・風・光の条件は「4. 蒸散量が増える条件・減る条件」を読み直してみましょう。
植物のつくりから復習したい
根・茎・葉の役割や、水が植物の中を移動する流れがあいまいな場合におすすめです。
蒸散と関係する植物の基本的なつくりを、植物分類の記事とあわせて整理できます。
ワセリン実験や条件比較に不安が残る
問題4・8・10で迷った場合や、水の減少量の計算で比較する装置を選びにくい場合は、まず記事内の説明を読み直してみましょう。
-
3. 蒸散実験は「どの条件を変えたか」を読む
:ワセリンや袋の条件、装置の比較を復習する -
5. 比較問題・計算問題は「条件」と「水の減少量」を結ぶ
:水の減少量の計算例と結果の読み方を復習する
記事を読み直しても考え方が整理しにくい場合は、中学受験理科の講座案内も確認できます。
生物分野の別の単元も復習したい
蒸散の基本を確認できたら、植物の種子や昆虫の育ち方など、別の生物単元へ学習を広げることもできます。
- 種子のつくりを学ぶ:植物分野を続けて復習する
- 昆虫の完全変態・不完全変態を学ぶ:生物分野の別の内容を確認する
9. まとめ──蒸散は「定義・気孔・条件比較」で押さえる
- 蒸散は、植物の体内の水分が主に葉の気孔から水蒸気として出る現象です。
- 蒸発は、水が液体から気体になる一般的な現象です。
- 一般的な陸上植物では、気孔は葉の表側よりも裏側に多く見られます。
- 実験問題では、葉・ワセリン・袋・ふたなど、どの条件を変えたかを確認します。
- 蒸散量は、気温・湿度・風・光の影響を受けます。
- 表やグラフは、数字だけでなく条件と結果を組み合わせて読むことが大切です。
まずは「どの装置の、どの条件が違うのか」を言葉で整理してから、水の減少量を比べてみましょう。比較する組み合わせが分かると、蒸散の実験問題を読み取りやすくなります。
読了後の案内
植物の基本を復習したい場合は植物分類の記事へ、実験問題の学習について相談したい場合は中学受験理科の講座案内へ進んでください。ほかの理科単元や学習情報を探す場合は、トップページから確認できます。


