【理科のコツ】消化と吸収

中学受験/理科・生物
テーマ:消化と吸収・三大栄養素

消化と吸収──三大栄養素はどこでどう分解・吸収される?

ご飯・お肉・油ものに含まれる三大栄養素(でんぷん・たんぱく質・しぼう)は、
口から肛門までの消化管を通る中でバラバラに分解され、
最終的に小腸の柔毛から吸収されます。
このページでは、動画と図・まとめ表・クイズで
「どこで・何が・どう分解されるか」を整理していきます。

動画で学ぶ:消化と吸収の流れ

まずは動画で、三大栄養素消化管の流れをざっくりつかみましょう。
チャーハンの例えや「体の中外説」など、イメージが残りやすい話をもとに、
あとで出てくる用語を頭に入れていきます。

三大栄養素と「分解後」のすがた

人が生きていくうえで特に大事な栄養素が三大栄養素です。
まずは「何から何に分解されるか」をしっかり覚えましょう。

三大栄養素と分解後

  • でんぷん(炭水化物)
    ブドウ糖(グルコース)
  • たんぱく質
    アミノ酸
  • しぼう
    しぼう酸+グリセリン(モノグリセリド)

授業やテストでは、この「分解前」と「分解後」を対応させる問題がよく出ます。

  • 三大栄養素の名前と、分解後の名前をセットで暗記
  • 特に、「ブドウ糖=グルコース」という別名も覚えておくと安心。
  • しぼうは「しぼう酸+モノグリセリド」という表現にも慣れておこう。

これらに細かくバラバラにならないと、血液に乗って運ぶことができません。
だからこそ「どこでどう分解されるか」が大事になってきます。

消化管の流れと主な消化酵素

口から肛門まで、一本の「管(くだ)」になっている部分を消化管といいます。
それぞれの場所で、どの栄養素をどの酵素が分解しているかを整理しましょう。

場所 主なはたらき 主な消化酵素・消化液
・食べものを噛みくだく(物理的な消化)
・でんぷんの一部を分解し始める
だ液(アミラーゼ)
→ でんぷんをブドウ糖へと分解し始める
食道 ・口から胃へと食べものを運ぶ 消化酵素による分解はほぼ行われない
・胃液により食べものをどろどろにする
・主にたんぱく質を分解
胃液(ペプシンなど)
→ たんぱく質を分解(でんぷん・しぼうはほとんど分解されない)
十二指腸 ・胃から来た食べものに、すい液・たんじゅうがかかる
・三大栄養素の本格的な分解がスタート
すい液:でんぷん・たんぱく質・しぼうを分解
たんじゅう:しぼうの消化を助ける(酵素ではない)
小腸 ・小腸液でも分解が続く
柔毛から栄養素を吸収
小腸液:でんぷん・たんぱく質などをさらに分解
→ ブドウ糖・アミノ酸・しぼう酸・モノグリセリドに
大腸〜肛門 ・主に水分を吸収
・不要なものが便として排出される
消化はほぼ行われない(まとめのステージ)

ポイントは、でんぷん・たんぱく質は「3か所」で分解されるのに対して、
しぼうはすい液+たんじゅうの助けがないと分解されにくいという点です。

小腸の柔毛──「回転寿司レーン」のように表面積アップ

栄養素を実際に体の中(血液)に取り込むのが小腸です。
小腸の内側には、マイクロファイバーのモップのようなひだひだ(柔毛)がびっしりならんでいます。

  • 柔毛 = 「柔らかい毛」と書く。
  • イボイボ・もこもこの形で、表面積をとにかく増やすのが目的。
  • 回転寿司のレーンのように、長い道のり+デコボコ
    たくさんの栄養素をキャッチできるようになっている。

柔毛の中には毛細血管が通っていて、ここから
ブドウ糖・アミノ酸・しぼう酸・モノグリセリドが吸収され、
全身へと運ばれていきます。

小腸と柔毛の拡大図

小腸の内側をめくると、柔毛がびっしり。
表面積を広げて、効率よく栄養を吸収できるようになっています。

よく「小腸は第二の脳」と言われるのは、栄養の吸収だけでなく、
体の調子やメンタルにも深く関わっているからです。
勉強としては、まず柔毛の形・はたらき・「表面積アップ」の理由をおさえればOKです。

「体の中外説」と、よく噛むことの意味

体の中外説って?

口から肛門までの消化管は、一本のトンネルのようになっています。
ミクロな世界で見ると、食べものはずっと「体の外側のトンネル」を通っているイメージです。

  • 口 → 食道 → 胃 → 十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 肛門 という一本の道。
  • 消化管の内側は、実は「外界とつながっている空間」と考える。
  • 栄養素が柔毛から血液に入った瞬間、はじめて「体の中に入った」と言える。

なぜ「よく噛んで食べなさい」と言われるのか

「よく噛め」と言われるのは、精神論ではなくちゃんと理科的な理由があります。

  • 歯で細かく砕くことで、消化酵素がはたらきやすくなる(表面積アップ)。
  • だ液のアミラーゼが、でんぷんを早い段階から分解し始めてくれる。
  • よく噛むほど、消化がスムーズになり、胃や小腸の負担が軽くなる。

消化と吸収についてのまとめ

項目 詳細
三大栄養素 – でんぷん(炭水化物)→ ブドウ糖(グルコース)
– たんぱく質 → アミノ酸
– しぼう → しぼう酸、モノグリセリド
消化の流れ 口 → 食道 → 胃 → 十二指腸 → 小腸 → 大腸 → 肛門
・口:アミラーゼででんぷんを分解
・胃:ペプシンでたんぱく質を分解
・十二指腸:すい液・たんじゅうで三大栄養素を本格的に分解
・小腸:柔毛から栄養を吸収
柔毛の役割 表面積を広げ、効率良く栄養を吸収する。
柔毛の中の毛細血管から、分解された栄養素が血液中へ入る。
すい液とたんじゅう – すい液:でんぷん・たんぱく質・しぼうを分解する強力な消化液
– たんじゅう:しぼうの消化を助ける(しぼうを細かくする)
主な消化酵素 – アミラーゼ(口のだ液):でんぷんを分解
– ペプシン(胃液):たんぱく質を分解
– すい液中の酵素:でんぷん・たんぱく質・しぼうを分解

「どこの消化液が、どの栄養素に効いているか」を対応表で整理しておくと、
用語問題・記述問題のどちらにも強くなります。

理解度チェッククイズ(10問)

消化と吸収の流れがしっかり頭に入ったか、クイズで確認してみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンをクリックすると解答が表示されます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 三大栄養素に含まれないものは? A. でんぷん
B. たんぱく質
C. ビタミン
D. しぼう

2. 柔毛の役割は? A. 消化を助ける
B. 栄養吸収効率を高める
C. 消化液を分泌する
D. 体温を調節する

3. 胃で分解される栄養素は? A. でんぷん
B. たんぱく質
C. しぼう
D. 全て

4. アミラーゼが分解するものは? A. たんぱく質
B. でんぷん
C. しぼう
D. ビタミン

5. すい液が分解する栄養素は? A. でんぷん
B. たんぱく質
C. しぼう
D. 全て

6. たんじゅうの役割は? A. 栄養吸収を助ける
B. 消化を助ける
C. しぼうの消化を助ける
D. 胃液を分泌する

7. 小腸で主に吸収されるものは? A. 栄養素
B. 消化液
C. 酵素
D. 水

8. 消化管の順番として正しいものは? A. 口 → 胃 → 小腸 → 食道 → 肛門
B. 口 → 食道 → 胃 → 小腸 → 大腸
C. 食道 → 口 → 胃 → 小腸 → 肛門
D. 口 → 小腸 → 胃 → 大腸 → 肛門

9. でんぷんが最初に分解される場所は? A. 胃
B. 小腸
C. 口
D. 食道

10. よく噛むことで特に良くなることは? A. 免疫力が上がる
B. 消化が良くなる
C. 消化管が短くなる
D. 消化酵素がなくなる

「どこで・何が・どう分解されるか」を言葉で説明できるようにしよう

消化と吸収は、用語暗記+流れの理解+図の読み取りがそろうと一気に得点源になります。
このページのまとめ表とクイズを使って、自分のことばで説明できるレベルまで練習してみましょう。

  • 三大栄養素の「分解前→分解後」をカードにして暗記。
  • 消化管の図を描きながら、場所・消化液・分解されるものを書き込む。
  • 柔毛の図を見て、「なぜこんな形なのか」を友だちに説明してみる。

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