【理科のコツ】火山と火成岩

中学受験理科/地学分野
単元:火山と火成岩

火山と火成岩のしくみを一気に整理──深成岩・火山岩・マグマの「性格」を押さえよう

ふだん何気なく見ている石ころの大半は「火成岩」です。
その火成岩には、深成岩火山岩という2つのタイプがあり、マグマの冷え方や成分の違いによって
色・組織・火山の形まで変わってきます。

このページでは、動画の内容をもとに、仕組みを理解しながら暗記をラクにすることをねらいとして、
火山と火成岩のポイントを一気に整理します。

動画で学ぶ「火山と火成岩」

文章だけではイメージしにくい部分は、必ず動画もセットで確認しておくと理解が定着しやすくなります。

火成岩とは?──「石ころのほとんど」がマグマから生まれている

地表に転がっている石ころは、大きく分けると堆積岩火成岩の2種類があります。
前の単元で扱ったように、堆積岩は砂や泥などが押しつぶされてできた岩石です。

それに対して火成岩は、

  • 地球内部のマグマが冷え固まってできた岩石
  • ふだん私たちが見ている石ころのかなりの割合を占める

つまり、「マグマの性格」を理解する=身の回りの岩石の正体が見えてくるということです。

火成岩は2タイプ──深成岩と火山岩

火成岩は、マグマがどこで・どのくらいの速さで冷え固まったかによって、
次の2つに分けられます。

分類 できる場所 冷え方 組織の特徴 代表的な岩石
深成岩 地下深く(マグマだまり付近) とてもゆっくり冷える 結晶がじっくり成長し、
大きさがそろった結晶がびっしりつまった「等粒状組織」
(動画内では「逗留状組織」と表現していますが、正しい用語は等粒状組織
花こう岩・せん緑岩・はんれい岩 など
火山岩 地表付近・地表(火山の周辺) 急に冷える 大きな結晶(斑晶)のまわりを、
細かい粒の石基がうめている「斑状組織」
流紋岩・安山岩・玄武岩 など

「ただ闇雲に暗記するんじゃなくて、『どうやってできたか』という仕組みを押さえておくと、
記憶するときに楽になります。」

語呂で覚える:新幹線は借り上げ

中学受験レベルでは特に、花こう岩玄武岩が頻出です。
それらをふくめた代表的な火成岩は、次の語呂でまとめて覚えることができます。

語呂:新幹線は借り上げ

しん(深成岩)・か(花こう岩)・ん(せん緑岩)・せん(せん緑岩)・は(はんれい岩)/
借り(流紋岩)・上(安山岩)・げ(玄武岩)

分類 岩石名 色のイメージ
深成岩 花こう岩 白っぽい(明るい色)
せん緑岩 中間色
はんれい岩 黒っぽい(暗い色)
火山岩 流紋岩 白っぽい(明るい色)
安山岩 中間色
玄武岩 かなり黒っぽい

マグマと噴火のしくみ──なぜマグマは地表に出てくるのか

地下は「おしくらまんじゅう」で熱々

地球の内部では、岩石どうしがおしくらまんじゅう状態になっており、とても高温・高圧です。
そのため、

  • 地面の岩石がどろどろに溶けてマグマになる
  • プレートが沈み込むところから海水がしみ込み、水蒸気=ガスが大量に発生する

このマグマとガスがたまった場所が、いわゆるマグマだまりです。

炭酸飲料のイメージでとらえる噴火

授業では、噴火のイメージを次のようなたとえで説明しています。

「炭酸水やコーラを振ってからフタを開けると、プシュッと中のガスが飛び出しますよね。
マグマだまりも同じで、ガスがいっぱいになって、出やすい(地面の柔らかい)ところを探して噴き出すんです。」

このとき、地表に出てきたマグマを「溶岩」と呼び、その溶岩が冷え固まることで火山岩ができます。

火山岩と深成岩の違いをイメージでつかむ

冷え方のちがい → 結晶のちがい

  • 火山岩:溶岩として地表近くに出て一気に冷えるため、結晶が大きく育つ時間がありません。
    → 細かい石基の中に、所々だけ大きな結晶(斑晶)が見える斑状組織になります。
  • 深成岩:地下深くでゆっくり冷えるため、結晶がじっくり成長します。
    → 大きさのそろった結晶がぎっしりつまった等粒状組織になります。

成分のちがい → 色のちがい

マグマの中身は、大きく分けて次の2種類の成分からできています。

  • ガラス成分(二酸化ケイ素):ガラスのように白っぽい・透明な成分
  • 土っぽい成分:黒っぽい成分

この割合の違いが、岩石の色を決めます。

  • ガラス成分が多い → 白っぽい岩石(花こう岩・流紋岩など)
  • 土っぽい成分が多い → 黒っぽい岩石(はんれい岩・玄武岩など)

実際、北海道の昭和新山は白っぽい岩石が多く、ガラス成分が豊富なマグマが固まってできた山であることがうかがえます。

火山の形はマグマの「粘り気」で決まる

マグマの粘り気 主な成分 火山の形 噴火のようす 代表例
大きい(ねばねば) ガラス成分(二酸化ケイ素)が多い 急な斜面・とんがった形(溶岩ドームなど) ガスがたまりやすく、噴火が激しい 昭和新山 など
中くらい ガラス成分と土成分が中間 富士山のようなきれいな円すい形(成層火山) 爆発的噴火も、溶岩流も起こりうる 富士山・三原山 など
小さい(さらさら) 土っぽい成分が多い なだらかな丘のような形(盾状火山) 溶岩がさらさらと遠くまで流れ、噴火は穏やか キラウエア火山(ハワイ) など

ガラス細工を思い浮かべるとイメージしやすいですが、ガラスは溶かすととてもねばねばします。
そのため、ガラス成分の多いマグマほど粘り気が大きく、噴火も激しくなりやすい、というつながりがあります。

カルデラとカルデラ湖──「山のてっぺんが抜けた」地形

最後に、よくテストに出るカルデラについて整理しておきましょう。

  • とても激しい噴火やその後の地盤の沈降によって、山の頂上付近が大きくくぼんだ地形をカルデラという。
  • そのくぼみに水がたまったものがカルデラ湖

代表的な例としては、

  • 熊本県の阿蘇山のカルデラ
  • 北海道の洞爺湖(カルデラ湖)

写真や地図帳で実際の形を確認しておくと、問題集で見たときに一発でイメージが結びつくようになります。

火山と火成岩に関するチェッククイズ(10問)

学んだ内容がしっかり理解できているか、クイズで確認してみましょう。
「正解を見る」ボタンを押すと答えが表示され、ボタンは消えます。

問題 選択肢 正解
1. 火成岩とは、何が冷え固まってできた岩石ですか? A. 地表の砂
B. 地下水
C. マグマ
D. 火山灰

C. マグマ
2. 深成岩の特徴として正しいものはどれですか? A. 地表で急に冷えた岩石
B. 地下深くでゆっくり冷えた岩石
C. 風で削られてできた岩石
D. 火山灰が積もってできた岩石

B. 地下深くでゆっくり冷えた岩石
3. 火山岩の組織として正しいのはどれですか? A. 等粒状組織
B. 斑状組織
C. 層状組織
D. しま模様組織

B. 斑状組織
4. ガラス成分(二酸化ケイ素)が多く、白っぽい火山岩はどれですか? A. 流紋岩
B. 安山岩
C. 玄武岩
D. はんれい岩

A. 流紋岩
5. 玄武岩のような黒っぽい岩石が多いマグマの特徴として最も近いものは? A. ガラス成分が多く粘り気が大きい
B. ガラス成分が多くさらさらしている
C. 土っぽい成分が多く粘り気が小さい
D. 土っぽい成分が少なくさらさらしている

C. 土っぽい成分が多く粘り気が小さい
6. 富士山のようなきれいな円すい形の成層火山について正しい説明はどれですか? A. マグマの粘り気がとても小さい
B. マグマの粘り気が中くらい
C. マグマの粘り気がまったくない
D. マグマが存在しない

B. マグマの粘り気が中くらい
7. 昭和新山のように白っぽい溶岩ドームができやすいのは、どのようなマグマのときですか? A. ガラス成分が多くねばねばしたマグマ
B. ガラス成分が少なくさらさらのマグマ
C. 水しかふくまないマグマ
D. 土成分がないマグマ

A. ガラス成分が多くねばねばしたマグマ
8. キラウエア火山のような、なだらかな盾状火山の特徴として正しいものは? A. 溶岩がさらさらと遠くまで流れる
B. 溶岩がほとんど流れない
C. 火山灰だけが飛ぶ
D. 噴火がまったく起こらない

A. 溶岩がさらさらと遠くまで流れる
9. 地表に噴き出してきたマグマを何と呼びますか? A. 火山灰
B. 溶岩
C. 砂れき
D. 堆積物

B. 溶岩
10. 激しい噴火とその後の沈降で山頂部が大きくくぼみ、水がたまった湖を何といいますか? A. 成層火山
B. 盾状火山
C. カルデラ湖
D. 断層湖

C. カルデラ湖

まとめ:仕組みを理解すると、火成岩は「暗記ゲー」じゃなくなる

火山と火成岩の単元は、名前も多く一見「暗記地獄」に見えますが、
ここまで整理してきたようにマグマの性格(冷え方・成分・粘り気)から考えると、一気に覚えやすくなります。

  • 火成岩はマグマが冷え固まってできた岩石で、深成岩と火山岩に分かれる。
  • 深成岩は地下深くでゆっくり冷えた岩石、火山岩は地表付近で急に冷えた岩石
  • ガラス成分が多いと白っぽく・粘り気が大きい、土成分が多いと黒っぽく・粘り気が小さい
  • マグマの粘り気の違いが、火山の形(昭和新山・富士山・キラウエアなど)の違いにつながる。
  • カルデラは激しい噴火とその後の沈降で山頂が大きくくぼんだ地形で、カルデラ湖もセットで押さえる。

「暗記することは多いけれど、推しの石を一つ見つけて、
『この石はどんなマグマから生まれたのか』と想像しながら覚えていくと、ぐっと楽になります。」

問題演習では、名前だけでなく、色・組織・でき方・火山の形をセットで説明できるかを意識して復習してみてください。

火山と火成岩を「得点源」にしよう

ここまで読んでみて、岩石や火山のイメージが少しクリアになったでしょうか?
あとは、問題集や過去問で「名前 → しくみ → 火山の形」を行き来できるかをチェックしていくだけです。

  • 動画をもう一度見ながら、ノートに「深成岩 vs 火山岩」の比較表を書いてみる
  • 昭和新山・富士山・キラウエア火山などの写真を調べて、マグマの粘り気との関係をコメントしてみる
  • 自分だけの「推しの火成岩」カード(写真+特徴メモ)を作ってみる

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