【理科のコツ】固体・液体・気体

中学受験/理科・化学
テーマ:固体・液体・気体と状態変化

固体・液体・気体と状態変化──物質の三態をイメージで理解する

氷・水・水蒸気。見た目は違っても中身はすべて「水」です。
このページでは、物質の三態(固体・液体・気体)
融解・蒸発・昇華・過冷却・吸熱反応といった大事なキーワードを、
動画と図・まとめ表・クイズで整理します。

動画で学ぶ:固体・液体・気体と状態変化

まずは動画で、物質の三態状態変化のイメージをつかみましょう。
氷・水・水蒸気の変化を「分子の動き」に注目しながら見ると、理解がぐっと楽になります。

物質の三態とは?──固体・液体・気体のイメージ

物質はふつう、固体・液体・気体のいずれかの状態(これを「三態」と呼ぶ)をとります。
違いのポイントは、分子(原子)の並び方と動き方です。

  • 固体
    分子が規則正しく整列していて、カチッとした状態。
    例:氷、氷砂糖、金属のかたまり など。
  • 液体
    分子がゆるくつながりながら動き回る状態。
    「チャパチャパ」したイメージで、形は変わるが体積はほぼ一定。
    例:水、油、アルコール など。
  • 気体
    分子同士のつながりがほとんどなく、自由に飛び回る状態。
    「一匹オオカミ」のように広い空間を動き回る。
    例:空気、水蒸気、酸素 など。

水を例にした三態のイメージ

  • (固体):整列した分子でカチッとした状態。
  • (液体):休み時間のように、くっついたり離れたりしながら動き回る状態。
  • 水蒸気(気体):とても元気に飛び回る、自由な状態。

この「分子の動き」のイメージを持っておくと、あとで習う状態変化や熱の出入りも理解しやすくなります。

状態変化の名前を整理しよう

固体・液体・気体の間を行き来する変化には、それぞれ名前(用語)が決まっています。
水を例にすると、次のようになります。

状態変化 向き 水の具体例
融解 固体 → 液体 氷が溶けて水になる
凝固 液体 → 固体 水を冷やして氷になる
蒸発(沸騰を含む) 液体 → 気体 水が蒸発して水蒸気になる
凝縮 気体 → 液体 水蒸気が冷えて水滴になる(コップの外側の水滴など)
昇華 固体 ↔ 気体 ドライアイス(固体 CO₂)がいきなり気体になる など

どの向きの変化かを矢印つきでノートに図にしておくと、用語問題に強くなります。

湯気と水蒸気/氷と水・過冷却

湯気と水蒸気の違いに注意!

やかんからモクモク出ている「湯気」は、実は液体の水の粒です。
白く見えているのは、細かい水の粒に光が反射しているからです。

  • 水蒸気:気体の水。目には見えない
  • 湯気:冷えて液体の水滴になったもの。白く見える。
  • やかんの口のすぐ近くの透明な部分は高温の水蒸気なので、絶対に触らない。

氷と水が混ざっているときの温度

水は0℃で凍り始めます。20℃くらいの水を冷やしていくと、
一度0℃になり、氷と水が混ざっているあいだは温度がずっと0℃のままです。

  • 水が氷になるとき、温度を下げるエネルギーが「状態を変えるため」に使われる
  • そのあいだは、温度計の値がしばらく変わらない。
  • 氷になりきったあと、はじめて0℃より下がっていく。

このような「氷と水が混在しているとき温度が変わらない」という現象は、グラフ問題でもよく出題されます。

水の温度変化と状態変化のイメージ図

温度がしばらく横ばいになっている部分が、氷と水が同時に存在しているところです。

過冷却(かれいきゃく)という現象

特別な条件では、水が0℃より低い温度でも液体のまま存在することがあります。
これを過冷却と言います(高校化学レベルの内容ですが、入試問題で名前が出ることがあります)。

  • 見かけはふつうの水だが、温度は0℃より下。
  • ちょっとしたきっかけ(衝撃など)で、一気に氷になることがある。
  • 問題文に「過冷却」という語が出たら、説明をよく読むこと。

寒剤と吸熱反応──塩+氷でキンキンに冷える理由

アイスクリームづくりなどで登場する、「氷+食塩」の組み合わせは代表的な寒剤です。

  • 氷と水に食塩を加えると、食塩が水に溶けるときに周りの熱をうばう(吸熱反応)が起こる。
  • その結果、水の温度がどんどん下がり、0℃より低い温度まで「キンキンに冷やす」ことができる。
  • この性質を利用して、アイスクリームなどを短時間で冷やし固める。

「溶けるときに熱をうばう」という考え方は、高校化学にもつながる重要なテーマです。
中学受験レベルでは、食塩が溶けるときは周囲を冷やす=吸熱反応と押さえておきましょう。

固体・液体・気体と状態変化のまとめ

ポイント 内容
物質の三態 固体:分子が規則正しく整列している
液体:分子が自由に動きつつまとまりを持つ
気体:分子が自由に飛び回る
状態変化 – 融解:固体 → 液体
– 蒸発:液体 → 気体
– 凝固:液体 → 固体
– 凝縮:気体 → 液体
– 昇華:固体 ↔ 気体
重要概念 水蒸気:気体の水、目に見えない
湯気:液体の水の粒
氷水の状態:氷と水が混在する時、温度は0℃のまま変化しない
過冷却:氷点以下で液体状態が維持される特殊な現象
吸熱反応 – 食塩が水に溶ける時、周囲の熱を吸収して温度を下げる

「どの状態か」「どの向きの変化か」「熱は出入りしているか」をセットで整理しておくと、
グラフ問題や文章題に強くなります。

理解度チェッククイズ(10問)

固体・液体・気体と状態変化がしっかり整理できたか、クイズで確認してみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンをクリックすると解答が表示されます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 固体の特徴として正しいものはどれ? A. 分子が規則正しく並んでいる
B. 分子が自由に動き回る
C. 分子が完全に静止している
D. 分子が個々に分かれている

2. 気体の分子の動きは? A. 規則正しく動く
B. 他の分子と結合する
C. 自由に飛び回る
D. 固定された位置に留まる

3. 湯気の正体は何か? A. 気体の水
B. 液体の水粒
C. 固体の水
D. 気体と固体の混合物

4. 水の融解温度は? A. -10℃
B. 0℃
C. 20℃
D. 100℃

5. 昇華はどの状態変化を指す? A. 液体 → 気体
B. 固体 → 気体
C. 液体 → 固体
D. 気体 → 液体

6. 過冷却状態とは? A. 水が沸騰している状態
B. 氷点以下で液体が維持される状態
C. 水蒸気が凝縮する状態
D. 固体が溶ける状態

7. 食塩を水に溶かす時に発生する反応は? A. 放熱反応
B. 吸熱反応
C. 化学反応
D. 電解反応

8. 氷と水が混在する時の温度は? A. -5℃
B. 0℃
C. 10℃
D. 100℃

9. 液体が気体になる現象は? A. 凝縮
B. 蒸発
C. 凝固
D. 融解

10. 湯気に含まれる物質は? A. 酸素
B. 二酸化炭素
C. 水の粒
D. 塩素

まとめ──「分子の動き」と「熱の出入り」で三態をイメージしよう

  • 固体・液体・気体の違いは、分子の並び方と動き方で考える。
  • 状態が変わるときには熱の出入りがあり、融解・凝固・蒸発・凝縮・昇華などの用語で表される。
  • 湯気は液体の水の粒、水蒸気は目に見えない気体の水という違いに注意。
  • 氷と水が同時にあるときは、温度が0℃でしばらく一定になる。
  • 食塩が溶けるときの吸熱反応は、アイスづくりなど身近な現象にも関係している。

三態と状態変化は、グラフ・文章・実験結果など、さまざまな形で入試問題に登場します。
このページの内容を土台にして、教科書や問題集の例題にも触れていきましょう。

三態・状態変化を「言葉」と「グラフ」で説明できるようにしよう

固体・液体・気体の違いや、融解・蒸発・昇華・過冷却・吸熱反応などのキーワードは、
ただ覚えるだけでなく、自分の言葉で説明できるかが合否を分けます。
このページのまとめ表・クイズを使って、友だちや家族に教えられるレベルを目指しましょう。

  • ノートに「三態の図+状態変化の矢印」を自分の言葉で書いてみる。
  • 湯気・水蒸気・氷水・寒剤など、身の回りの現象と結びつけて説明してみる。
  • 模試や過去問のグラフ問題で、どの部分がどの状態かを読み取る練習をする。

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