【理科のコツ】水溶液のこさ

中学理科/化学分野
テーマ:水溶液のこさ・質量パーセント濃度

水溶液の「こさ」と質量パーセント濃度──溶質・溶媒・溶液から整理しよう

このページでは、動画で解説している「水溶液のこさ(質量パーセント濃度)」を、
中学理科でよく出る用語と計算の流れに沿って整理します。
算数でもおなじみの「こさの問題」ですが、理科では溶質・溶媒・溶液の意味をしっかり押さえることがポイントです。

動画で学ぶ:水溶液のこさ(質量パーセント濃度)

まずは動画で全体のイメージをつかんでから、本文の解説・まとめ・クイズで理解を固めていきましょう。

1. 水溶液の「こさ」とは?──算数と理科の役割分担

「水溶液のこさ」の問題は、中学入試や定期テストで頻出のテーマです。

170グラムの水に砂糖30グラムを溶かしました。こさは何%ですか?
……計算は算数の先生に聞いてください。

こんなふうに、計算そのものは算数でしっかり練習するところですが、理科で大事なのは次の2点です。

  • 用語の意味(溶質・溶媒・溶液)を正しく理解すること
  • 問題文や実験文から「何を求めるのか」を読み取ること

2. 溶質・溶媒・溶液の基本用語を整理しよう

前の動画でも登場した、絶対に覚えてほしいキーワードがこちらです。

溶媒・溶質・溶液の定義

  • 溶媒(ようばい)
    物質を溶かす側の液体(中学ではほとんど
  • 溶質(ようしつ)
    溶けている物質(食塩・砂糖など)
  • 溶液(ようえき)
    溶媒と溶質が混ざりあったできあがりの液体

具体例でイメージ

  • 水に砂糖を溶かした液体 → 砂糖水(水溶液)
  • このときの役割
    ・水 …… 溶媒
    ・砂糖 …… 溶質
    ・砂糖水 …… 溶液
  • 中学理科では「溶媒=水」として扱う問題がほとんど

高校化学になると、エタノールなど水以外の溶媒もよく出てきますが、
中学の段階では「水溶液=水に物質が溶けた液体」というイメージで十分です。

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3. 質量パーセント濃度の考え方──「全体のうち〇gが溶質」

水溶液のこさを表す方法はいくつかありますが、中学理科で最もよく使うのが
質量パーセント濃度です。

質量パーセント濃度の公式と説明図

図にあるように、考え方の基本はとてもシンプルです。

  • 溶液の重さ分の、溶けているものの重さを割合で表したもの
  • 教科書によっては「質量」を使って

    (溶質の質量 ÷ 溶液の質量)× 100と書かれる
  • 「溶液の質量」=溶媒の質量 + 溶質の質量

言いかえると、「全部の水溶液の重さのうち、何グラムが溶質か」をパーセントで表したものです。
これは「全校生徒のうち男子が何人?」と聞いているのと同じ考え方です。

4. 例題で確認:170gの水に30gの砂糖を溶かした水溶液

代表的な例題を、理科の視点で整理しておきましょう。

条件 考え方
条件
  • 水(溶媒):170g
  • 砂糖(溶質):30g
溶液の質量
  • 溶液の質量 = 溶媒 + 溶質
  • 170g + 30g = 200g
質量パーセント濃度
  • (溶質の質量 ÷ 溶液の質量)× 100
  • (30 ÷ 200)× 100 = 15%

ここで注目してほしいポイントは次のとおりです。

  • 分母(溶液の質量)のほうが必ず大きくなる(溶質+溶媒だから)
  • そのため、溶質 ÷ 溶液の値は必ず1より小さな小数になる
  • 小数のままだと見づらいので、100を掛けて%に直しているだけ

5. よくあるつまずきポイントと対策

質量パーセント濃度でよくある間違いを、あらかじめ知っておくと安心です。

① 分母と分子を取り違える

  • 正しくは「溶液の質量分の溶質の質量」
  • 水の重さだけを分母にしてしまうミスに注意
  • 「全体のうち、どれだけ溶質か」を意識する

② 用語の混乱

  • 溶媒=水、溶質=溶けている物質、溶液=できあがりの液体
  • 問題文中の「水溶液」「溶けている物質」の言い換えに注意
  • まずは「これは溶質?溶媒?溶液?」と整理するクセをつける

計算自体は算数の練習でスムーズになります。理科では、用語と考え方をしっかり押さえて、
長い問題文の中から何を求める式を立てるのかを読み取る力を鍛えていきましょう。

6. 水溶液のこさのまとめ表

ここまでの内容を、確認しやすいように表に整理しました。

ポイント 内容
基本概念
  • 溶媒:液体(中学では多くの場合は
  • 溶質:溶けている物質
  • 溶液:溶媒と溶質が混ざった液体
  • 例:水に砂糖を溶かした液体 = 砂糖水(水溶液)
質量パーセント濃度
  • 公式:(溶質の質量 ÷ 溶液の質量)× 100
  • 溶液の質量 = 溶媒の質量 + 溶質の質量
  • 例:170gの水に30gの砂糖 → 溶液200g、濃度は15%
計算のポイント
  • 分母(溶液の質量)のほうが必ず大きくなる
  • 溶質 ÷ 溶液 の値は1より小さく、小数になる
  • 小数が見づらいので、100を掛けて%表示にする
重要キーワード
  • 溶質・溶媒・溶液
  • 問題文から「何を求めるべきか」を読み取ることが最重要

7. 確認クイズ(10問)で理解をチェック!

ここまで学んだ内容を、10問のクイズで確認してみましょう。
各問題の「正解を見る」ボタンを押すと答えが表示され、ボタンは消えます。

問題 選択肢 正解を見る
1. 溶媒とは何を指しますか? A. 溶けている物質
B. 液体部分
C. 固体部分
D. 全体の液体

2. 質量パーセント濃度の公式はどれですか? A. (溶媒の質量 ÷ 溶液の質量)× 100
B. (溶質の質量 ÷ 溶液の質量)× 100
C. (溶液の質量 ÷ 溶質の質量)× 100
D. (溶液の質量 ÷ 溶媒の質量)× 100

3. 溶液の質量の計算方法として正しいのはどれですか? A. 溶質の質量
B. 溶媒の質量
C. 溶質 + 溶媒の質量
D. 溶質 ÷ 溶媒の質量

4. 200gの水溶液に30gの溶質が含まれる場合、質量パーセント濃度は? A. 10%
B. 15%
C. 20%
D. 25%

5. 水溶液のこさを表す単位として最も適切なのは? A. グラム
B. パーセント
C. ミリリットル
D. キログラム

6. 溶質の質量が全体の液体の質量を超えることは? A. 可能
B. 不可能
C. 条件次第
D. 測定不能

7. 溶媒として最も一般的に使われる物質は? A. 水
B. エタノール
C. 酢
D. 塩酸

8. 水溶液のこさの計算で使用される数学的手法は? A. 割合
B. 微分
C. 積分
D. 対数

9. 質量パーセント濃度で表すと便利な理由として最も適切なのは? A. 数値が簡潔になる
B. 溶液が一定になる
C. 混合比率が変わらない
D. 実験に必ず必要だから

10. 算数でよく扱う水溶液のこさの問題の例として適切なのは? A. 酸とアルカリの反応
B. 水と砂糖の混合比率
C. 化学反応の速度
D. 金属の電気伝導

8. まとめ──用語と「全体のうち〇g」のイメージをセットで

  • 水溶液のこさは、「全体のうち、どれだけ溶質が入っているか」を表したもの。
  • 質量パーセント濃度は(溶質 ÷ 溶液)× 100という割合の考え方。
  • 溶質・溶媒・溶液の用語があいまいだと、問題文の意味を取り違えやすい。
  • 計算そのものは算数の力でスムーズにしつつ、理科では用語と式の意味をしっかり理解する。
  • 文章の長い問題では、まず「これは溶質?溶媒?溶液?」とラベル付けしてから式を立てるとミスが減る。

たくさんの問題を解きながら、文章の読み取り+割合の考え方をセットで鍛えていきましょう。

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