【理科のコツ】水よう液(中和)
テーマ:酸性・アルカリ性と中和反応
酸とアルカリの中和とは?塩と水ができる反応と完全中和を整理
酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜると、互いの性質を打ち消し合います。この反応が中和です。
中和というと「混ぜた水溶液が必ず中性になる」と覚えがちですが、中和は酸性とアルカリ性が反応することを表します。酸とアルカリが過不足なく反応した状態を完全中和といいます。
このページでは、中和の意味、塩と水ができる反応、リトマス紙の変化、完全中和する量の比、酸とアルカリのどちらが余るかまで、中学受験理科で必要なポイントを順番に確認します。
最初に押さえたい中和のポイント
- 中和は、酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応。
- 完全中和は、酸とアルカリが過不足なく反応した状態。
- 中和では、基本的に塩(えん)と水ができ、熱が発生する。
- 酸またはアルカリが余ると、反応後の水溶液にもその性質が残る。
動画で学ぶ:水溶液の混ぜ合わせと中和のイメージ
動画で酸性・アルカリ性・中和の全体像をつかんだあと、以下の説明で「何ができるのか」「どちらが余るのか」まで整理しましょう。
1. 中和とは?酸性とアルカリ性を打ち消し合う反応
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜると、それぞれの性質が弱まります。このように、酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応を中和といいます。
酸とアルカリを混ぜても、量がつり合っていなければ、どちらか一方が余ります。
酸が余れば反応後も酸性が残り、アルカリが余ればアルカリ性が残ります。反応後に中性になっていなくても、酸とアルカリが反応した部分では中和が起きています。
中和と完全中和の違い
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 中和 | 酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応。どちらかが余っていても、反応した部分では中和が起きている。 |
| 完全中和 | 酸とアルカリが過不足なく反応した状態。中学受験では、完全中和する体積や混ぜる量の比を求める問題がよく出題される。 |
中学受験での考え方:代表的な中和問題では、酸とアルカリがちょうど反応した完全中和の状態を、中性になる点として扱うことが多くあります。まずは、酸とアルカリが過不足なく反応したかどうかを確認しましょう。
2. 中和でできるものは塩(えん)と水
この記事で扱う代表的な中和反応では、塩(えん)と水ができます。
酸 + アルカリ → 塩(えん) + 水
- 塩(えん)は、食塩だけを表す言葉ではない。
- 酸とアルカリの組み合わせによって、できる塩の種類が変わる。
- できた塩が水に溶けたままで、反応後の水溶液が透明な場合もある。
「中和によって何ができるか」と聞かれたら、まず塩と水を答えられるようにしましょう。
代表的な中和反応の例
酸とアルカリの組み合わせから、できる塩を考える問題もあります。
塩酸 + 水酸化ナトリウム水溶液 → 塩化ナトリウム + 水
| 酸 | アルカリ | できる塩 | もう一つのできるもの |
|---|---|---|---|
| 塩酸 | 水酸化ナトリウム水溶液 | 塩化ナトリウム | 水 |
| 塩酸 | 水酸化カルシウム水溶液 | 塩化カルシウム | 水 |
| 硫酸 | 水酸化ナトリウム水溶液 | 硫酸ナトリウム | 水 |
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、塩化ナトリウムと水ができます。酸とアルカリの名前をそのまま並べるのではなく、どの組み合わせから、どの塩ができるかを確認しましょう。
3. 中和では熱が発生する
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜると、中和反応によって熱が発生します。そのため、反応後の水溶液や容器の温度が上がることがあります。
- 中和は発熱反応である。
- 実験では、ビーカーや水溶液が温かくなることがある。
- 温度変化を調べる問題では、混ぜる前と混ぜたあとの温度を比べる。
入試での注意:色の変化だけでなく、温度の変化から中和反応を判断する問題もあります。「酸とアルカリを混ぜると熱が発生する」という関係を、塩と水の生成とセットで覚えましょう。
4. リトマス紙で酸性・アルカリ性・中性を見分ける
中和の前後で水溶液の性質がどう変わったかを調べるときは、リトマス紙などの指示薬を使います。
| 水溶液の性質 | 青色リトマス紙 | 赤色リトマス紙 |
|---|---|---|
| 酸性 | 青から赤に変わる | 赤のまま |
| アルカリ性 | 青のまま | 赤から青に変わる |
| 中性 | 青のまま | 赤のまま |
青から赤は「おかあさん」で覚える
酸性による青色リトマス紙の変化は、しゅん吉流キーワードの「おかあさん」で覚えられます。
- お=青
- あ=赤
- さん=酸性
青から赤に変わったら酸性です。反対に、赤色リトマス紙を青色に変える水溶液はアルカリ性です。
5. 完全中和と計算問題の考え方
中和の計算問題では、酸とアルカリをどれだけ混ぜると完全中和するかを考えます。大切なのは、問題文や実験結果から分かる中和する量の比を基準にすることです。
同じ種類・同じ濃さの水溶液では、中和する体積の比を使う
たとえば、ある濃さの塩酸20mLと、ある濃さの水酸化ナトリウム水溶液30mLを混ぜると完全中和することが分かったとします。
完全中和する組み合わせ
塩酸20mL:水酸化ナトリウム水溶液30mL = 2:3
この塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の種類と濃さを変えず、体積だけを変える場合は、2:3の比を基準に考えます。
| 塩酸 | 完全中和に必要な水酸化ナトリウム水溶液 | 考え方 |
|---|---|---|
| 20mL | 30mL | 問題で示された基準 |
| 40mL | 60mL | 両方を2倍にする |
| 10mL | 15mL | 両方を2分の1にする |
どちらが余るかを判断する例
同じ濃さの塩酸20mLに、水酸化ナトリウム水溶液を20mLだけ加えた場合、完全中和に必要な30mLより10mL少ないため、アルカリが足りません。
- 塩酸がすべて打ち消されず、塩酸が余る。
- 反応後の水溶液は酸性になる。
- 青色リトマス紙を入れると、赤色に変わる。
反対に、塩酸20mLへ同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液を40mL加えると、完全中和に必要な30mLより10mL多いため、アルカリが余ります。反応後の水溶液はアルカリ性です。
「濃度×体積」はいつ使うのか
同じ種類の酸やアルカリで、濃さだけが変わる問題では、濃度と体積の両方を見る必要があります。ただし、異なる種類の酸とアルカリを、濃度×体積だけで単純に比べられるとは限りません。
計算問題を解く順番
- どの酸とアルカリを混ぜているか確認する。
- 問題文、表、グラフ、実験結果から完全中和する組み合わせを見つける。
- その中和比を基準に、必要な体積を比例で求める。
- 実際に加えた量と比べ、酸とアルカリのどちらが余るか判断する。
- 余った水溶液から、反応後の性質を判断する。
中和計算でつまずきやすいポイント
基本的な比例計算ができても、入試問題では表やグラフから完全中和する点を見つけたり、うすめたあとの濃さを考えたりする必要があります。
次のような問題で手が止まりやすい場合は、知識の暗記だけでなく、実際の問題を使って考え方を整理することが大切です。
- 問題ごとに中和する体積の比が変わると判断できない。
- 表やグラフから完全中和する点を見つけられない。
- 反応後に酸とアルカリのどちらが余るか分からない。
- 過去問で水溶液分野の得点が安定しない。
受験理科専門塾しゅん吉クエストでは、水溶液の基本事項を確認したうえで、表・グラフ・計算問題や過去問演習へ進みます。
6. クイズの前に要点を確認
反応について
- 中和は酸性とアルカリ性を打ち消し合う反応。
- 代表的な中和では塩と水ができる。
- 中和では熱が発生する。
計算について
- 完全中和する量の比を基準にする。
- 必要量より少なければ、反対側の水溶液が余る。
- 余った水溶液から反応後の性質を判断する。
7. 中和反応の確認クイズ10問
基本用語から、完全中和後の水溶液の性質まで順番に確認しましょう。後半ほど、量の関係を考える問題になっています。
問題1.中和とは、どのような反応ですか?
A.酸性だけが強くなる反応
B.アルカリ性だけが強くなる反応
C.酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応
D.水がすべて蒸発する反応
正解と解説を見る
正解:C
中和は、酸性とアルカリ性が互いの性質を打ち消し合う反応です。
問題2.この記事で扱った代表的な中和で、できるものは何ですか?
A.酸素と水
B.塩と水
C.二酸化炭素と水
D.塩と酸素
正解と解説を見る
正解:B
酸とアルカリが中和すると、代表的な反応では塩と水ができます。
問題3.中和反応にともなう温度変化として適切なものはどれですか?
A.熱が発生する
B.必ず氷ができる
C.温度は絶対に変化しない
D.必ず0℃になる
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正解:A
中和は発熱反応であり、水溶液や容器の温度が上がることがあります。
問題4.酸性の水溶液に青色リトマス紙を入れると、何色になりますか?
A.赤色
B.青色のまま
C.緑色
D.黄色
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正解:A
酸性の水溶液は、青色リトマス紙を赤色に変えます。
問題5.塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を中和させると、できる塩はどれですか?
A.塩化ナトリウム
B.硫酸ナトリウム
C.塩化カルシウム
D.炭酸カルシウム
正解と解説を見る
正解:A
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和では、塩化ナトリウムと水ができます。
問題6.完全中和とは、どのような状態ですか?
A.酸だけが残った状態
B.アルカリだけが残った状態
C.酸とアルカリが過不足なく反応した状態
D.水溶液がすべて蒸発した状態
正解と解説を見る
正解:C
完全中和は、酸とアルカリが過不足なく反応した状態です。
問題7.ある塩酸20mLと、ある水酸化ナトリウム水溶液30mLが完全中和します。同じ濃さの塩酸40mLを完全中和するには、同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液が何mL必要ですか?
A.15mL
B.30mL
C.40mL
D.60mL
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正解:D
塩酸が20mLから40mLへ2倍になったため、水酸化ナトリウム水溶液も30mLの2倍である60mL必要です。
問題8.塩酸20mLと水酸化ナトリウム水溶液30mLが完全中和します。同じ濃さの塩酸20mLに、同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液20mLだけを加えたとき、何が余りますか?
A.塩酸
B.水酸化ナトリウム水溶液
C.どちらも余らない
D.水だけが余る
正解と解説を見る
正解:A
完全中和には水酸化ナトリウム水溶液が30mL必要ですが、20mLしか加えていないため、アルカリが不足して塩酸が余ります。
問題9.問題8の反応後の水溶液は、何性ですか?
A.酸性
B.アルカリ性
C.必ず中性
D.性質は判断できない
正解と解説を見る
正解:A
塩酸が余っているため、反応後の水溶液は酸性です。
問題10.塩酸20mLと水酸化ナトリウム水溶液30mLが完全中和します。同じ濃さの塩酸20mLに、同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液40mLを加えたとき、反応後の水溶液は何性ですか?
A.酸性
B.アルカリ性
C.必ず中性
D.酸性とアルカリ性の両方
正解と解説を見る
正解:B
完全中和に必要な30mLより10mL多く加えているため、水酸化ナトリウム水溶液が余り、反応後はアルカリ性になります。
8. まとめ|中和する量の比と、余る水溶液を確認する
中和問題では、用語を覚えるだけでなく、完全中和する量を基準にして考えることが大切です。
- 酸とアルカリが互いの性質を打ち消し合う反応が中和。
- 代表的な中和では、塩と水ができ、熱が発生する。
- 問題から、完全中和する酸とアルカリの量の比を見つける。
- 実際に混ぜた量と比べて、どちらが余るかを判断する。
- 余った水溶液から、反応後が酸性かアルカリ性かを判断する。
「酸+アルカリ」という言葉だけで判断せず、完全中和に必要な量と実際に混ぜた量を比べる習慣をつけましょう。
別の理科分野も復習したい場合
以下の記事は中和や水溶液の直接的な続きではありません。中和の学習を終えたあとに、中学受験理科の別分野も復習したい場合に利用できます。
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