生物分野の特徴と引っ掛かりポイント【動画解説】

 

中学受験理科/生物分野
知識量+整理力アップ講座

中学受験理科「生物分野」の勉強法──「ただ覚える」から「使える知識」へ

植物・動物・分類・からだのつくり・ホルモン……と、とにかく覚えることが多い生物分野。
「覚えろ」と言われがちな世界ですが、やみくもな暗記だけでは入試レベルの問題には対応しきれません。

本記事では、講師・高野のインタビューをもとに、生物の学習で意識したいポイントを整理します。
単なる暗記ではなく、実験系の問題への応用・知識の整理の仕方・「覚えるコツ」まで、
動画とあわせてじっくり学べる構成になっています。

※動画では、生物分野の「覚え方」や実験問題への向き合い方を、対談形式で分かりやすく解説しています。

生物分野の特徴──まずは「知識量勝負」

「覚えろ」で終わらせないために

高野:生物分野はいろんな先生が言うと思うんですけど
「覚えろ」です。知識量勝負なので割と社会と近いです。

生物分野は、用語・名称・分類・はたらきなどの知識量がストレートに得点に結びつく分野です。
「社会と近い」と表現されるように、正確に覚えているかどうかがまずは大きな差になります。

ただし、高野が強調しているのは、「覚えろ」だけで終わらせないことです。

  • 用語をただ丸暗記するだけでは、少しひねった問題に対応できない
  • 入試では、知識を組み合わせて考察する問題が多く出る
  • 特に実験系の生物問題では、知識+読解+考察の力が必要

つまり、生物は「覚えればいい分野」であると同時に、「覚えた知識をどう使うか」まで問われる分野でもあります。
ここを意識しているかどうかで、中学受験における得点の伸び方が大きく変わってきます。

鍵になるのは「実験系問題」への対応力

高野:生物で注意してほしいと思うのが1個あって実験系問題です。
化学にも通じる部分ではあるんですけど、ある程度実験を見たことある、体験してる子は有利だと思います。
なので知ってるだけでだいぶ得になりますが、その時に色んな対照実験を比較させることによって何が読み取れるかという部分が問題に出るので、
知識だけでなく、知識をどう使っていくかという応用がすごく大事になります。

生物分野の中でも特に得点差がつきやすいのが、実験系の問題です。
「葉に光を当てる/当てない」「肥料あり/なし」「ホルモンあり/なし」など、
対照実験を通して「条件が違うと結果がどう変わるか」を比較させる問題が頻出です。

実験系問題で点を取るために、意識しておきたいポイントは次の通りです。

  1. 実験の目的:「何を確かめるための実験か」を一言で言えるようにする
  2. 対照実験:条件の違い(肥料あり/なし等)を整理し、比べる視点をはっきりさせる
  3. 結果の読み取り:表・グラフ・写真から、「増えた/減った」「ある/ない」を冷静に読み取る
  4. 考察:それがどんなしくみ・知識と結びつくのかまで考える

ここでもやはり重要になるのは、「知っている」だけでなく、「使える状態にしておく」こと。
生物の用語を覚えるときから、「どんな実験で使われる知識か」をセットで意識しておくと、
実験系の問題に強くなっていきます。

「覚えるのもムズくない?」への答え──例えとイメージで理解する

ホルモンは「お知らせチラシ」

高野:面白おかしくここでは例えられないような例えを実際の授業ではします。
例えばバソプレシンというホルモンがあるんですけど、ホルモンは体に「何かして」っていう
「お知らせチラシ」と一緒なんですよ。
腎臓で水分を再吸収するホルモンだよって問題に出てきたり、水分を再吸収することで血圧が上がる現象が起こったり、
逆に言うと、腎臓で水分を再吸収するからオシッコの量が減るという覚えたことから、派生部分がテストに出てくるので、
闇雲に暗記するとやった結果、何が起こるかというところを理解させるように喋ってます。「こんなところに使われる」っていうのはよく言っています。

生物の知識はたしかに覚えることが多いですが、イメージをつかんでしまえば一気に覚えやすくなります。
高野がよく使うのが、「ホルモン=お知らせチラシ」というたとえです。

例えば、バソプレシンというホルモンであれば、

  • 役割:腎臓に「水分をもっと再吸収して」と伝えるお知らせチラシ
  • 結果①:水分が体に戻るので、血圧が上がりやすくなる
  • 結果②:水分を体に戻した分だけ、尿の量(オシッコ)が減る

こうして、

「何をするホルモンか」→「その結果、体にどんな変化が起こるか」→「それがどんな場面で問われるか」

という派生の流れまでセットで押さえておくことで、入試問題にも対応しやすくなります。

高野は、授業の中で
「この知識はこんなところに使われるよ」と、実際の出題場面を意識した説明を心がけています。
家庭学習でも、単語カードを作るときに、「用語の意味」+「結果・はたらき」+「よく問われるポイント」を一緒に書いておくと効果的です。

「覚えるコツ」とは?──知識に「フォルダ」を作る

知識をピラミッド状に整理する発想

――コツってありますか?知識を覚えるとき、階層が設定されてる必要があると思ってて色んな昆虫だって動物の中の1種類だよねっていうように知識がピラミッド形式になってない子をよく見るなって。

生物の知識でよくあるのが、
「言葉は知っているのに、どのグループに属するか分からない」という状態です。
例えば、

  • 「バッタ」→ 昆虫類 → 節足動物 → 動物 → 生物
  • 「心臓」→ 循環器 → からだのつくりとはたらき → 動物 → 生物

といったように、本来は階層構造(ピラミッド)で整理されるべき知識が、
バラバラに頭の中に入ってしまうと、問題を読んだときに「これは何の単元の話だっけ?」となりやすくなります。

「フォルダ」を作るイメージで整理する

高野:よく「フォルダ」を作れと言ってます。パソコンと一緒で生物というフォルダの中の「植物」「動物」動物の中の脊椎動物みたいな感じでフォルダを自分の脳みその中に作って例えるんですけど、膨大な知識で何のジャンルの単語なんだっていうのが闇雲に覚えてると散らかってしまうので、
整理することは一番意識して言ってるところではありますね。あと、何より好きになることが一番ですからね(笑)

高野が生徒によく伝えているのが、「頭の中にフォルダを作る」というイメージです。
パソコンでファイルを保存するときと同じように、知識もフォルダ分けして覚えていきます。

フォルダ階層 具体例 ポイント
生物 「生物」「無生物」の区別、共通する性質(成長・呼吸・排出など) 最上位フォルダ。全体像をつかむ。
植物/動物 光合成・蒸散・種子植物/無脊椎動物・脊椎動物 など まずは「植物の話なのか」「動物の話なのか」を意識する。
さらに細かい分類 被子植物/裸子植物、昆虫類/魚類/両生類/爬虫類/鳥類/ほ乳類 など ここで特徴とセットで覚える(体温・呼吸器官・卵か胎生か 等)。
具体的な用語・名称 例)「カマキリ」「スギ」「ネコ」「バソプレシン」など 「これはどのフォルダに入る単語か?」を意識して覚える。

勉強するときには、次のような手順でフォルダ分けを意識してみてください。

  1. 新しい用語を見たら、まず「大きなくくり」を書き出す(植物/動物、からだのつくり/ふえ方 など)
  2. その中で、さらにどの分類に入るかを決める(昆虫類・ほ乳類・被子植物…)
  3. ノートに「フォルダ階層」を図にして書き、空いているところに具体例を書き足す

こうすることで、膨大な知識も「どのジャンルの単語か」が分かりやすくなり、
生物全体のつながりも見えやすくなります。散らかった知識を整理することが、生物分野での得点アップの近道です。

最後は「好きになること」が一番の近道

高野はインタビューの最後で、「何より好きになることが一番」と話しています。
生物は、身の回りの出来事とつながりやすい分野です。

  • 散歩中に見かけた植物や昆虫を「これは何類かな?」と考えてみる
  • ペットや自分の体調の変化を、「体のしくみ」の観点から見てみる
  • ニュースや本で出てくる生き物・ホルモン・病気などを、理科の知識と結びつけてみる

こうした日常の小さな経験が、「あ、授業でやったあの話だ」とつながると、
自然と生物が『テストのための暗記』から『世界の見え方が変わる知識』に変わっていきます。

生物分野で意識したい3つの視点
  • まずは知識量──社会科に近い「覚えた者勝ち」の側面がある
  • 実験系問題で、知識を「使う」練習をする
  • フォルダ分けで、知識を整理して覚える

「覚えるのが大変」という壁を越えるためには、

ただ量をこなすのではなく、整理と応用を意識した学習が重要です。

家庭学習でできる工夫
  • ノートの最初に「生物フォルダ」の階層図を作る
  • 用語カードに「意味+結果+よく出るポイント」を書いておく
  • 身の回りの生き物を、「どの分類か」をクイズ形式で確認する

こうした工夫を続けることで、生物の知識がつながった形で頭に残るようになっていきます。

「生物の知識がバラバラ…」と感じているご家庭へ

当塾「しゅん吉クエスト」では、生物分野を含む中学受験理科について、一人ひとりの理解度と目標に合わせた個別指導を行っています。
「用語は覚えているのに、問題になると使えない」「実験系になると急に正答率が下がる」といったお悩みを、
ノートの整理・読み方・解き方までセットでサポートします。

授業では、次のようなポイントを重視しています。

  • 分類やからだのしくみを「フォルダ形式」で整理するノート作り
  • 対照実験・リード文の読み取り方と図への書き込み方
  • 用語を「覚える」だけでなく、「どんな場面で使うか」まで意識した解説

「生物だけ勉強量のわりに伸びづらい…」という場合は、

まずどこで混乱しているのかを一緒に整理することから始めてみませんか。


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まとめ──「覚えるだけ」から「整理して使う」生物へ

生物分野は、「覚えることが多い」という意味ではハードルが高く見えますが、
工夫次第で確実に点を伸ばせる分野でもあります。

  • 「覚えろ」と言われる分野だが、実験系問題では応用力も問われる
  • ホルモンなどは、イメージ(お知らせチラシなど)と一緒に理解すると覚えやすい
  • 知識はフォルダ分け(階層化)して整理すると、問題で使いやすくなる
  • 対照実験・リード文の読み取りを通して、「知識をどう使うか」を練習することが大切
  • 身の回りの生き物や自分の体験と結びつけることで、生物を「好き」になりやすい

いきなりすべてを完璧にしようとせず、まずは①フォルダ整理 ②実験系問題 ③イメージを使った暗記の3つから取り組んでみてください。

動画や個別指導も活用しながら、生物を「ただ覚えるだけの科目」から「世界の見え方が変わる面白い科目」へと変えていきましょう。

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